先週、剱沢での新田次郎原作「剱岳 点の記」ロケ隊の、医療班の仕事からの帰り道、雷鳥沢でキヌガサ草の群落を見つけました。しかし、生憎の土砂降りで、ザックからカメラを出すどころではありません。あんなキヌガサ草の大群落は滅多に出会えないので、この一週間、学会で北海道に出張していても、学会の司会よりも、写真に撮れなかったことが気になっていました。
週末に学会から帰って、早速、インターネットで立山の天気予報をチェックしたところ、20日の日曜日は、午後から晴れマークとなっていました。そこで、家内を口説いて、立山・雷鳥沢まで、キヌガサ草の写真を撮りに出掛けることにしたのです。
家内を口説いて、と言うのは、家内と2人住まいの我が家では、愛玩用にミニチュアダックスを飼っています。里山に登るときは、いつも同行させ、急登や、岩場等の足場が悪くなるとリュックに背負って登っていました。また遠出の際は、金沢の家内の実家に預かってもらっていたのです。今回の国立公園の立山へは、自然環境保護のため、動物は持ち込めません。結局、この蒸し暑さの中、クーラーを付けて老犬を一人(一匹)家で留守番させることになるので、家内は、なかなか山行きに同意しません。
で、なんとか口説いて、と表現しました。
弘法を過ぎる辺りから、ガスって視界が全く効かなくなりました。弥陀ヶ原からは、フロントガラスのワイパーが、激しく動き始めます。室堂のバス停で雨具を付け、雨のシトシト降る中を、午後から晴れるという天気予報を信じて歩き出しました。室堂平では、視界10mほどで、ガスッて、なんにもみえません。前を歩く、登山者、観光客がぼんやり見える程度です。
雷鳥荘前の休憩ベンチで昼飯を取っていると、ガスの切れ間に、雷鳥沢の下部が見えました。海の日を入れての3連休とあって、雷鳥沢のテント場には50張りほどの色とりどりのテントが見えます。一週間前と同様、雷鳥沢の夏道は雪渓の下で、雪渓の上を2-3のグループが、別山乗越を目指して登っているのが見えます。
今年の5月6月は、山は低温、少雨で、例年になくいつまでも雪渓が残っているので、雷鳥沢のキヌガサ草の群落に気づいたのです。いつもは、夏道を歩くので、キヌガサ草は藪の中となり、気づかれることなく、咲いていたのではないでしょうか。
あれから一週間も経ちますが、キヌガサ草はしぼんだり枯れたりすることなく、私たちが来てくれるのを待っていてくれました。雪渓が溶けてしまうと、キヌガサ草は藪の中に隠れてしまうので、今年の願ってもないチャンスに是非、撮っておかねばと、急遽、登ったしだいです。
立山は一日中、厚いガスの中でしたが、ほんの一時だけ、チラッと、雄山が顔を出してくれました。
翌日から、富山は梅雨明け宣言が出され、毎日30度を超す真夏日が続いています。
雷鳥沢のキヌガサ草の写真を添付しました。
とやまの こうじ