2007: 2007年6月アーカイブ

 今日の SankeiWEB で「年金氏名 自動読み仮名ソフト導入 入力ミス誘発、システム欠陥」という気になる記事を目にした。

 年金記録は、32年からそれまでの手書き台帳での管理と並行し、データをパンチカードに入力する機械処理を導入。37年からは磁気テープへの収録を進めた。32年当時は文字をそのまま入力することができなかったため、氏名は「島=3800」「崎=3451」「藤=7854」「村=8618」といった具合に、漢字1文字ごとに4けたの数字に変換され、パンチカードに入力された。53年までに約5400万件の氏名が数字記号化された。

 その後、社保庁は54年になり、氏名をコンピューターにカタカナで入力する方式に変更した。ところが、数字記号化されたデータは読み仮名が分からなかったため「漢字カナ変換辞書」を開発。このソフトによって変換された勝手な読み仮名をそのまま、本人に確認することもせずコンピューターに入力した。

 今回問題となっている年金システム上で宙に浮いてる5000万件のデータだが、こういった漢字の自動変換システムが原因でのデータが含まれているということであれば、今回政府が作るという名寄せプログラムでも解決が付かないものが多く残ってしまうのではないだろうか。
 氏名の表記には外字といわれる特殊な漢字も多くある。そして、漢字で表記されているものには、氏名以外にも住所がある。例えば、悩ましいことに、「町」の呼び方は地方によって異なる。一番町だが「イチバンチョウ」や「イチバンマチ」と土地によって呼び方が異なる。加えて、平成の大合併で住所表記もグジャグジャになっている。
 名前の読み方も適当、住所の読み方も適当、住所表記も大きく変わってしまっているといった状態で、どれ位の精度で名寄せができるのだろうか。かなり不安が残る。
 私も今回の年金問題は、至急対策しないといけないと思う。しかし、その為にも、政府は、早急に過去と現在の問題点を洗い出し、事務処理的に技術的に何が問題だったのかを明確にし、国民に開示することが先決ではないだろうか。
 今のように、モグラタタキのように、次から次へと問題が明らかになってくる状況で、担当省庁が「もう問題になる事はありません」といったところで、誰も安心できないだろう。
 原因の開示をあやふやにしたまま、対策システムを作っても意味がない。税金の無駄使いになってしまうし、次から次へと問題が指摘されるという状況は、国民の不安を煽るだけではないだろうか。
 また、技術的にも、解決すべき問題点を全て明確にすることは、システム設計の原則でもある。特に今回のような場合は、システム開発者も、問題となるデータは、何が原因で宙に浮いたのか、どう解決しようとしているかを積極的に開示しておくことが大切ではないだろうか。お役人に言われたように作りましたでは、技術者としても禍根を残すだろう。

 昨日、大阪地裁で二つの点で注目される判決があった。

読売新聞の報道では

判決で内田裁判官は「調書では当初5~6本だったのに事故から2か月以上が過ぎて本数が7本と明確になるのは甚だ不自然。飲酒した店へのう裏付け捜査も2か月余り怠っていた」と指摘。公判供述などから「飲酒量はビール3~3・5本」と認定し、ウィドマーク法を適用すれば、アルコールノードは0・042ミリ・グラムと基準値を下回るため、酒気帯び運転は認められない、と結論づけた。
と報道している。

 一つ目の注目点は、捜査誘導がされたのではないかと言った点で、

男は「2人で5~6本飲んだと話したのに(昨年7月25日の)取調べで『もっと飲んだはず』と言われ続け7本ぐらいとされた」
と反論した。

とある点である。

 二つ目の注目点は、現在の酒気帯び運転の捜査や裁判で、裁判官の指摘の中にもある「ウィドマーク法」が、大きな判断材料になっているという点である。

 全国の同様の酒気帯び運転の裁判にも影響があるかも知れません。

蛇足的補足

 飲酒運転撲滅の一助になればと、酔っ払い度をウィドマーク法で計算する「飲んだら乗るなくん」を、以前から配布している。
 実は、これを作ったのは、弁護士五右衛門さんだ。今回の裁判の弁護を担当されたようだ。
 この裁判の弁護をやることになって、検察の言う「ウィドマーク法」を勉強して電卓を作って、この電卓を使って、検察の主張の矛盾をついて、酒気帯び運転に関しては無罪にしたという事のようだ。
 もちろん、このことは本人から聞いたことではなく、電卓作成時期や機能を見ての私の想像。

 だとすれば、検察も相手が悪かったということになるのだろうか。

 今日、グッドウィル・グループ <4723> の株価が急落した。
 ご存知のとおり、グッドウェル傘下のコムスンが、厚生労働省から事業所の新規指定や更新を打ち切られるからだろうと思う。

 私も父の介護で、介護サービスを提供してくれる色んなみなさんのお世話になってきた。介護保険には大変お世話になって感謝している。だから、今回の一連の報道で、コムスンには腹立たしいものを感じる。

 しかし、物事はそんな単純な話ではなさそうである。グッドウィル・グループの今6月期の第3四半期(06年7月~07年3月)業績を見ると、「介護・医療支援事業」は627億円の売上高に対して17億円の営業赤字。老人ホーム事業や介護施設の給食事業などを手掛ける「シニアレジデンス・レストラン事業」も10億円の営業赤字のようである。
 要するに、「不正請求をやっても介護事業は利益を計上できていない」という事である。この事は、かなり悩ましい問題である。 コムスンを血祭りに上げるのも良いが、政府の介護保険政策に問題がないのかを検証してみる必要があるのではないだろうか。

 「消えた年金問題」の根っ子にあることが、介護保険の問題の源流になってはいなだろうかと不安に思う。例えば、厚労省や政府の国会での答弁を聞きながら、そんな不安を感じてしまう。
 厚労省の説明の中でも、全体の何%だからどうとかといった回答を耳にする。しかし、何%の中に入った人にとってみては全てである。問題は、そんな単純な話ではない。

 国民の年金介護問題を、効率とか費用対効果といった尺度だけで判断してもらいたくないものである。しかし、物事を競争原理だとか効率一辺倒で考えるのが、現在の与党、自民党や公明党の考え方の基になっているのかも知れない。

 今日の日経新聞に総務省の研究会が、携帯電話端末代と通信料に関して次のように提言すると報じている。

 総務省は31日、携帯電話市場の競争促進策を議論するモバイルビジネス研究会を開いた。携帯電話の端末価格を高くする代わりに通信料を安くするなど、複数の料金体系を利用者が選べるようにすべきだとの意見でほぼ一致。6月下旬に報告書案をまとめて提言する。
 最近の携帯電話の端末機にはお財布代わりになるとか、テレビが見れるとか、色んな機能が付いている。機能が充実する分、高いものになっていると予想できる。 ところが、販売されている端末機の価格はそう変わっていないように思う。ちょっと古くなった型落ちの端末機での新規契約は0円というのもよく目にする。
 そんなこともあって、自分に取っては必要ない機能が付いていても、その中から携帯電話の端末機を選ばないといけないとしても、あまり抵抗なく選んでしまう。
 しかし、こういった端末機の費用は、通信料に上乗せして回収している。 だから、固定電話やIP電話に比べ、携帯電話の通話料が高いということのようだ。
 なるほど、総務省の研究会の提案の料金体系になれば、携帯電話は通話以外には殆ど使わない私などは、さしずめ、通話機能以外の機能が付いていないシンプルな端末機を選ぶと思う。
 また、提供される携帯電話端末も、いままでのように携帯電話端末にいろんな機能を付けるといった発想の端末機ではなく、利用者のニーズに合わせて、腕時計やパソコン、カーステレオ、バックや電卓に携帯電話機能を付けるといった、用途に合わせた道具に、携帯電話機能を付けるといった、より自由な発想の端末機が登場するようになるかも知れない。

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