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序文

 単純相続と相続放棄の中間形態ともいうべき限定相続の実務を理解せずして、相続制度を理解したとは言えない。
 単純相続と相続放棄の中間形態ともいうべき限定承認(限定相続)の場合の税務処理については、税理士の多くが知らない場合が多く、また税務署ですら知らない場合が多い。
 また、限定承認にともなう先買権行使による不動産登記手続等については、その事例ないし件数が少ないためか、司法書士の方でも知らない人が多い。

 本レポートは、限定承認という相続手続の概要の説明を主眼として、限定承認にともなう税務・登記手続き等及び抵当権等が設定されている場合における先買権行使の方法等についても説明して、相続の全態様を実践的・実務的に説明しょうとするものである。
 このような観点からまとめた文献等が見あたらないように思える。
 司法書士・税理士・行政書士・弁護士らの実務の参考になるとともに、相続に直面した一般の人に相続の仕方についての指針を示すことにもなると思われる。

 なお、この限定相続についての個別的処理等については、必ずしも十分な裁判例や文献等がないことから、筆者の見解として述べている部分が多々あることを了解願いたい。

2003年5月   
弁護士 五右衛門


目次

はじめに

第1章  相続の形態
一 その態様(民法915条1項前段) 
二 相続態様の選択

第2章  限定承認(民法922条以下)
一 申立の要件 
二 申立後の手続

第3章 相続形態と税金その1
一 単純承認の場合
二 相続放棄の場合 

第4章 相続形態と税金その2(限定承認の場合)
一 限定相続と税金の種類
二 みなし資産譲渡(所得税法59条)
三 資産譲渡納税責任(国税通則法5条)
四 相続税について

第5章 限定承認・抵当権設定・連帯保証人と相続人
一 限定承認の目的
二 限定承認と保証責任及び物上保証責任
三 抵当不動産の先買権行使
四 譲渡税評価価格と鑑定価格
五 鑑定価格と転売による先買権行使資金の調達

第6章 実践的対処方法その他
一 検討事項その1
二 検討事項その2

第7章 限定相続と破産法について
一 問題点
二 留意点
別添資料及び注書

第8章 相続時精算課税制度(平成15年導入)と
限定承認について

付録1 関係法令抜粋
付録2 限定相続問答集 (追加記載も含む)


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