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9999-1個別論点・不正行為によるID、パスワードの取得

個別論点-不正行為によるID、パスワードの取得・・・・(未完成)

一 不正取得の態様の分類

  ID、パスワードの不正取得については、不正アクセス禁止法所定の「不正アクセス」の定義との関連で、次のように分類するのが、事案の整理に有用である。

1 アクセス管理者から、ID、パスワードの交付を受ける場合。

イ アクセス管理者に対し、ID、パスワードの交付について定められている要件、条件その他について不正の告知等をして、アクセス管理者から、ID、パスワードの交付を受ける場合。
  
ロ 不正アクセス禁止法に違反するか否か。
  ID、パスにより特定利用の制限されているファイルにを利用し得る状態にしているものの、そのID、パスはアクセス管理者により付与されているものであり、
  ① 他人のID、パスを使用しているものではない。
  ② (アクセス管理者から付与されたものではない)アクセス制御を免れる情報ないし指令を入力しているわけではない。
ことから、不正アクセス禁止法所定の不正アクセス行為にも該当しない。

ハ 現在の不正アクセス禁止法は、欺罔行為その他の方法により、アクセス管理者から、ID、パスワードの交付を受ける行為を禁止対象としていないのである。
 「欺罔行為により、ID、パスワードの交付を受ける行為」は刑法所定の詐欺罪とは、犯罪の類型が異なるものであり、それのみで直地ちには、刑法所定の詐欺罪にも該当しない。

ニ 「欺罔行為その他の方法により、アクセス管理者から、ID、パスワードの交付を受ける行為」が、不正アクセス禁止法以外の、その他の法令等に違反するのか否かという点は、
  イ 使用規約の内容等と
  ロ 具体的な不正取得の態様、方法等を検討しなければ結論はだせない。
  要するに、抽象的な議論で、答えはでないということとなる。 

2 某SNSサービスの場合

イ 某SNSサービスの場合、「1人1IDを徹底するためと言う理由で携帯電話のメールアドレスの記入が加入登録の要件」とされたようである。

ロ 海外の携帯電話は日本の携帯電話と異なりメールアドレスがないものもあり、また、あっても、海外の携帯電話では某SNSが使用者の確認できないため某SNSへの加入登録ができず、また、日本の携帯電話でも、ソフトバンク、ウィルコムやグーグルの携帯電話も確認(携帯電話端末の個体識別番号による使用者の確認)できないため、結論として、某SNSに加入登録することができない現象が生じているらしい。

ハ 上記のような理由から、ネット上で某SNSのIDが売られているようである。
  購入する人は、携帯電話を持っていないか、または、確認できない機種のため加入登録ができないからだそうである。

ニ 「ネット上で某SNSのIDを売る」という行為は、どのような評価を受けるのか。
① 某SNSについて、規約違反の使用、利用を教唆、幇助していることとなる。
② 某SNSを利用すること自体の利益はどのような評価を受けるのか。
  仮に、それが、社会生活上の、財産上の利益という評価を受けるとすれば、場合により、それらの行為は、刑法の2項詐欺が成立するという発想もでてくる。
  某SNSの利用については、とりあえず、現在は無償で利用可能であることから(有償の場合には評価は異なることとなるか)、2項詐欺は不成立ということとなるか。
③ 某SNSについて規約違反の使用、利用それ自体が、規約違反という以上の法的評価を受けないものであるとすれば、教唆、幇助も同様ということとなりそうである。

投稿者 goemon : 2010年2月27日 12:02

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