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9999-56個別論点WIFIただ乗り行為

一 「WIFIただ乗り行為」の評価

1 大阪奥村弁護士


 結論としては、Wi-Fiのただ乗り行為については、不正アクセス禁止法は適用外で、電波法で対応していますので、それだけを検討すればよいでしょう。暗号通信を復号(復元)した場合でないと処罰されません。

電波法
第百九条の二  暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3  前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
4  第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。

 不正アクセス罪については、こういう定義ですので、「アクセス制御機能を有する特定電子計算機」へのアクセスがないと不正アクセスにはなりません。アパートの隣人の無線LAN装置が「アクセス制御機能を有する特定電子計算機」になることは普通ありません。なので、不正アクセス禁止法が適用される場面ではありません。

 仮にルーターが特定電子計算機だったとしてもそれに直接アクセスする場合には、「電気通信回線を通じて」に該当しません。

不正アクセス行為の禁止等に関する法律

(不正アクセス行為の禁止)

第三条
1 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
2 前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。  
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)  
二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為

 ということで、「アパートの隣人の無線LAN」にパスワードがかかっていたとしても、それを破っても、「アクセス制御機能を有する特定電子計算機でない」か「電気通信回線を通じてではない」ので、不正アクセス罪にはなりません。暗号通信を復号(復元)した場合に電波法違反になるだけです

投稿者 goemon : 2013年12月 5日 06:25

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