IT技術者のためのデジタル犯罪論  弁護士 五右衛門(大阪弁護士会所属 服部廣志)

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  目  次

デジタル証拠の改ざんなど

一 検察官によるデジタル証拠の改ざん

 郵便不正事件 大阪地検の主任検事逮捕 証拠隠滅容疑
厚生労働省の村木厚子元局長(54)に無罪が言い渡された郵便不正事件で、証拠品として押収したフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんした疑いが強まったとして、最高検は21日夜、大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅の疑いで逮捕した。証拠品のデータ書き換えは、現職特捜検事の逮捕という極めて異例の事態に発展した。また、大阪地検は同日、控訴を断念し、上訴権を放棄したと発表した。元局長の無罪が確定した。

 前田検事は20日までの大阪地検の調べに「誤ってデータを書き換えた」と説明し、意図的な改ざんではないと主張したとされる。最高検は21日に大阪高検や地検から報告を受けて対応を協議し、捜査を開始することを確認。前田検事を取り調べた結果、強制捜査が不可欠と判断した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100921-00000019-maip-soci

 

二 前田容疑者の弁明など

1 前田容疑者の弁明など

前田容疑者は逮捕前の聴取に対し、「FDのデータをUSBメモリーにコピーし、上村被告による改ざんがなかったか調べたが確認できず、中身を書き換えて遊んだ。USBのデータをいじっていたと思ったが、公判に入ってから、FDの方を書き換えていたことに気付いた」として、故意であることを否定していたという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100922-00000014-jij-soci

2 上記のような子供騙しの弁明を信用する人は存在しない。

 特別捜査部の検事なら、「いい加減な嘘を言うな!」と一喝するでしょう。

3 前田容疑者の説明など

 検察関係者によると、今年1月に大阪地裁で開かれた村木氏の初公判で、FDに記録された最終更新日時内容が問題になった。このため、同僚検事の一人が東京地検特捜部に応援に行っていた前田検事に電話をかけ、「FDは重要な証拠なのに、なぜ返却したのか」と聞いた。これに対し、前田検事は「FDに時限爆弾を仕掛けた。プロパティ(最終更新日時)を変えた」と明かしたという。

http://www.asahi.com/national/update/0922/
OSK201009220173.html

4 上記時限爆弾発言が事実であったとしたら、、、、、狂気である。

 検察官が公益の代表者とされる所以は真実を追究し、社会の法秩序を守ることが職責とされているからである。

 検察官の「真実の発見、追求」という使命感は消失している!!

 検察官が、単に、訴訟の勝ち負けのみを追求する輩であったとしたら、その保有する権力から、暴力団以下の、徹底的に排除されるべき、社会の害悪である。

 昔、制服をきたパトカー乗務の警察官がパトカー内で少女に強制わいせつ行為に及んだことがあり、弁護士が裁判所の判決、決定を偽造するという事件があった。

 いずれも実刑判決である。

 今回の検察官の行為は上記に匹敵する悪質な、重大犯罪である。

三 IT知識の欠落と愚かな犯罪など

1 上記検察官が、報道されているように、証拠を改ざんしたとしたら、報道されているとおり、とんでもない犯罪行為であると同時に、ITの側面から評価すると、あまりにお粗末な行為であるとも言える。

2 例え、書き換えの専用ソフトを使用したとしても、書き換えの事実は残るものであり、それが発覚しないとでも考えたのだろうか。

 あまりにもIT無知と言えるのかもしれない。

 PS参考

 最終更新日を書き換えるだけなら、書き換え専用ソフトを使用しなくても、どんなPCでも簡単に書き換え可能である。当該PCに内蔵されている日付時計を任意の日付に変更したうえ更新すれば、最終更新日は変更された任意の日付が表示される。但し、この方法の場合、当該PCの属性も変更、表示されることとなる。

 

四 元特別捜査部、部長・副部長検事逮捕

大阪地検特捜部検事による証拠隠滅事件で、主任検事前田恒彦容疑者(43)による故意の証拠データ改ざんを認識しながら、隠ぺいした疑いが強まったとして、最高検は1日、犯人隠避容疑で、前特捜部長の大坪弘道(57)=現京都地検次席検事=、前同部副部長の佐賀元明(49)=現神戸地検特別刑事部長=両容疑者を逮捕した。

 現職特捜検事が逮捕された事件は、特捜部トップだった検察幹部の刑事責任が問われる事態へと発展した。

 検察関係者によると、2人はいずれも、「故意の改ざんという認識はなかった」と否認している。

 逮捕容疑によると、大坪容疑者らは2月上旬ごろ、東京地検に応援派遣されていた前田容疑者に対し、今後は改ざんが過失だったと説明するよう電話で指示。同10日ごろには、前田容疑者が作成した上申書の内容を、過失だったことが合理的に説明できるように修正させ、故意の改ざんではなかったように装い、処罰を免れさせた疑い。

 検察関係者によると、大坪容疑者らは、前田容疑者から改ざんを知らされた同僚検事から、「故意の改ざんであり、調査して公表すべきだ」と伝えられた。

 しかし2月上旬、地検トップの検事正らに「同僚とトラブルになっているが、解決している。故意ではなく、問題ない」などと報告していた。

 前田容疑者の上申書は、検事正らへの報告後、大坪容疑者らの指示で作成された。最高検の家宅捜索では押収されていないという。

 前田容疑者はこれまでの調べに対し、「意図的にデータを改ざんしたことを、特捜部長と副部長に伝えた」と供述していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101002-00000001-jij-soci

1 書き換え専用ソフトを使用した「書き換え行為」について、 「過失で書き換えた」と納得できるだけの、合理的な理由づけができるのでしょうか?

 また、「なぜ、検事らから公表を迫られたにもかかわらず、公表しなかったのか」、大いに疑問が残ります。

2 上記両名の行為に、犯人隠微の罪に該当する行為があったのか否か、今後の捜査により判明していくのでしょうが、仮に、犯人隠微の罪の構成要件該当行為がなかったとしても、両名の当時の職務上の立場を考慮すれば、両名は検察官としての適格が欠落していたと評価されるのは当然であり、検察庁、検察官の腐敗の一端を示すものでしょう。

3 真実の追究が、その使命であることを忘れ

有罪判決の獲得、自己保身のみを図る

検察官としての適格、資格のない人間が検察庁にいる!!

 目をつぶれば、、過去に担当した刑事事件における

 上記のような、、情けない検察官の顔が、、、数人、、、浮かんでくる!!

 大阪地検に一人いた、、奈良地検にも、、、、いた!!

 彼らは、今、、、どんな気持ちで、今回の一連の騒動を見ているのだろうか!!

五 最高検、押収したパソコンから「経緯報告書」復元

大阪地検特捜部の検事・前田恒彦容疑者(43)による証拠品改ざん事件で、1日夜、犯人隠避の疑いで逮捕された前特捜部長・大坪弘道容疑者(57)らが書き換えを指示したとされる「経緯報告書」を、最高検が押収したパソコンから復元させていたことがわかった。最高検では、書き換えを裏づけ、隠ぺい工作の重要な証拠とみて調べを進めている。

・・・・

 佐賀容疑者は、逮捕前のFNNの取材に、この報告書の所在を気にする発言を繰り返していた。

 佐賀容疑者は「報告書出てきてるのか? 発見されているのか? 2月10日に前田(容疑者)がおれのところに持ってきた報告書がある。おれが説明して、おれの執務記録にも書いてあるわけよ。でも最高検はそれ見つけてないんだよ。あの報告書はどこいったのか、おれにはわからない」と述べていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20101002-00000470-fnn-soci

 最高検の方が一枚上手、、、というより、容疑者らがIT知識が拙劣すぎるか。

 

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