9999-37ボットウィルスと不正指令電磁的記録
一 ボットウィルスは刑法168条所定の不正指令電磁的記録に該当するのか。
1 刑法168条の2
(不正指令電磁的記録作成等)
正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
3 前項の罪の未遂は、罰する。
2 問題意識
コンピュータープログラムに関する知識が不十分なために、このような疑問を持つのかもしれない。
ボットウィルスと呼ばれるプログラムとリモートアイスタントに使用されるプログラムとでは「どこが異なる」のか。リモートコントロールを可能にするプログラムという点では共通である。
3 金森喜正氏の説明
ボットウィルスとリモートアシスタントの作り方や構造等に関しての違いに付いての知識はありませんので、ご説明することはできませんが。動作や使われ方の違いについては
ボットウイルスに関しては
http://www.keyman.or.jp/3w/prd/34/30002134/?vos=evpakey0008x3038651
リモートアシスタンスに関しては
http://e-words.jp/w/E383AAE383A2E383BCE38388E382A2E382B7E382B9E382BFE383B3E382B9.html
を参考にして頂ければと思います。
この説明でも分かる最大の違いは
(1) リモートアシスタンスに関しては、「助けてほしいユーザは遠隔地のユーザにWindows Messengerやメールを使ってメッセージを送り、遠隔地のユーザはそれを受けてリモートアシスタンスのセッション開始を要求する。助けてほしいユーザはこれに許可を与えて、パソコンを操作してもらう。」とあり、利用者の合意を得て、当該PCで動作する。
(2) 一方、ボットウイルスは、「コンピュータウイルスの一種。ボットに感染したPCは、攻撃者が用意したサーバに自動的に接続され、数千台から数万台のボット感染PCからなる「ボットネット」と言われるネットワークを形成する。」ということで、利用者の意思とは関係なく当該PCで動作する。
この点が一番の違いではないでしょうか。
すなわち、リモートアシスタンスは(不正指令電磁的記録作成等)にある正当な理由が「ある」が、ボットウイルスは正当な理由が「ない」と言えるのではないでしょうか。
4 よくはわからないが、次の二点に決定的な差異があるのかもしれない。
イ 本人の意思を無視して、PC間の接続をする。
ロ 本人の意向と無関係に、PCを作動させて、なんらかのファイル送信等の行為をさせる。
このように考えることが間違いでなければ、「ボットウィルス」は不正指令電磁的記録に該当することとなり、「リモートアシスタント用プログラム」は、これに該当しないこととなるか。
投稿者 goemon : 15:01 | トラックバック(0)