IT技術者のためのデジタル犯罪論  弁護士 五右衛門(大阪弁護士会所属 服部廣志)

  私の本屋さん


  目  次

個別論点・デジタル万引き

一 ディジタル万引き

1 書店において、カメラ付き携帯電話を使用して、陳列してある書籍の関心ある部分をカメラ撮影する人が増えてきているらしい。
 著作権ある書籍の写真撮影は、あきらかに複製に該当する(著作権法2条1項15号)。

2 しかし、個人的使用目的の行為であるなら、私的使用ということで、著作権法違反とはならない(同法30条)。例えば、「書店で立ち読みし、メモ書きする場合」と対比すればわかりやすいでしょう。

3 書店が、認めない目的での来店ということであれば、理論的には住居・建造物侵入の罪に該当しそうだけど(推定的承諾の理論)、このような場屋営業(商法502条7号)の場合においては、推定的承諾の理論の適用は緩やかに適用されるだろうし、また可罰的違法性の理論からしても問題は残りそう。

4 この社会的相当性の理論(違法性の理論)で考えるべき問題を、「カメラ撮影する書籍を正当な権限で利用できる人の場合に限る」というような形で、本件の争点を理解しょうとする人もいるようです。これは、上記のように3の問題と考えるのが正当でしょう。

5 う~~~ん??

6 結論
 現在、有効な法律的規制は存在しない。

7 対処方法
 「店舗内でのカメラ撮影は、ご遠慮願います」というような掲示でもするしかないか?
 このような掲示をしているにもかかわらず、なお、これを無視してカメラ撮影した場合には、不法行為を理由とした原状回復請求権、撮影ディジタル部分の抹消請求が認められる・・・・か?

 

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