IT技術者のためのデジタル犯罪論  弁護士 五右衛門(大阪弁護士会所属 服部廣志)

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個別論点・児童ポルノ禁止、京都府条例

一 京都新聞社説・児童ポルノ禁止  機運高め、国を動かせ

18歳未満の子どもの裸体などを写した児童ポルノの所持を全国で初めて禁止する京都府の規制条例が府議会で可決された。
 インターネットを通じて広がる児童ポルノの被害は年々深刻さを増している。府条例が規制の実を挙げるとともに、対応が遅い国に対し、法改正を迫る契機となることを期待したい。
 府条例の特徴はわいせつな画像や映像を購入する消費者を対象にした点だ。
 販売業者などをターゲットにしている国の児童買春・ポルノ禁止法を補完する形だ。

 需要を断つことで、供給側への打撃を狙う。
 規制は3段階ある。18歳未満の児童のわいせつな画像や映像の所持を原則禁止とする。所持している人に対し、知事は廃棄を命令できる。13歳未満の児童ポルノを購入した場合は懲役や罰金を科す。
 山田啓二知事は昨年の知事選で「日本で一番厳しい規制をする」との公約を掲げ、条例作りを推進してきた。背景にあるのはインターネットや携帯電話を通じた児童ポルノの広がりへの危機感だ。
 警察庁によると、今年上半期の児童ポルノの製造・販売による摘発は全国で649件(前年同期比9%増)と過去最多。被害児童の15%が小学生以下で、ネット経由で販売するケースが大半だった。
 いったんネット上に流れて不特定多数の手に渡ると、回収は非常に難しくなり、被害児童の人生に暗い影を落とす。親が撮影に関与しているケースも少なくない。
 日本はこれまで「児童ポルノの発信基地」と国際的に厳しい非難を浴びてきた。フィリピンなど国外で製造された児童ポルノが大量に持ち込まれ、ネットを通じて世界にばらまかれているのに、有効な対策を打たずにきたからだ。
 児童ポルノは子どもの人権を踏みにじる虐待の一種と言える。主要国首脳会議(G8)参加国で児童ポルノの所持を法律で禁止していないのは日本だけだ。
 これまで法改正の動きは何度かあった。しかし政党間の調整がつかず、「表現の自由」への配慮もあって実現していない。これ以上の政治の怠慢は許されない。
 府条例は、ネットに乗り国境を越えて広がる児童ポルノを根絶するには小さな力かもしれないが、動きが鈍い国に自治体が突きつけた問題提起と言える。
 児童ポルノを自由に取得・所持できる状況を放置して良いはずがない。府条例が国を動かし、国際的な「児童ポルノとの闘い」を促進するきっけになってほしい。
 来年1月1日の施行まで約2月半。まず条例の趣旨を周知せねばならない。そのうえで、児童ポルノを許さない府民ぐるみの機運を醸成したい。それが国へのメッセージとなるはずだ。
[京都新聞 2011年10月14日掲載]
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20111014_2.html

二 批判など
1 園田教授
 条例の特徴を「購入する消費者を対象にした点」とする、京都新聞の理解は、間違っていますね。その他、諸々も。
 http://www.facebook.com/profile.php?id=100001949479089#!/hisashi.sonoda

 

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