1 南山大学法科大学院町村教授の解説
インターネットの自由および反差別法とでもいうべきか。
要するにブロードバンドネットワークのプロバイダに対し、差別的取り扱いを禁止し、相互接続義務を課し、自社高速ネットを構築してネットを囲い込むことを禁止するというものだ。
日本では、電気通信事業法に差別的取り扱いの禁止条項があり、監督官庁による厳しい目が光っている現状では、アメリカのような法律を作る必要もないのかもしれない。
もっとも行政裁量による運用に委ねていると、その時々の状況により恣意的な運用がなされるかもしれず、民主的コントロールという点でも明確性という点でも問題がある。さりとてアメリカ式の立法にもなかなか共感を覚えにくいのだが。
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2006/05/america_bde6.html#comments
2 米国下院司法委員会可決
二 日本
1 差別的取扱の禁止
イ 電気通信事業法6条
2 検閲の禁止、通信の秘密
電気通信事業法3条
3 NTTぷららのウィニー遮断と総務省見解
<ウィニー>NTTぷららの遮断サービス、総務省認めず
NTT東日本系のインターネット接続業者、ぷららネットワークスは18日、情報流出が社会問題化しているファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を使った通信を自動的に締め出す新サービスの開始を当面見送ることを明らかにした。新サービスについて、総務省から「電気通信事業法に定めた通信の秘密の侵害に当たる可能性が高い」と警告されたためだ。ただ、ぷらら社は、総務省と再協議することも検討している。
ぷらら社は03年11月からウィニー利用者の通信速度を遅くする規制を始めたが、ウィニーを介した個人情報の漏えい事件が相次いでいることから、追加措置として新サービスの導入を計画していた。だが、総務省は、ぷらら社がネットワークに流れる通信の一部から、サービス利用者がウィニーを使っているかどうかを識別していると判断した。【森有正】
(毎日新聞) - 5月18日22時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000134-mai-bus_all
検閲、通信の秘密の侵害という見解か。
いずれにしても、差別的取扱にもなるか?
検閲、通信の秘密の侵害とともに、「差別的取扱の禁止に抵触する」と理解した方がわかりやすいような気がするが?
一 メール原本と写し
1 「メールの内容」の作成者は、当該部分の「送信者」欄に記載した者である。
2 メールはデジタルデーターの複製送信であり、原データーは、送信者のPCに保管されている送信済みメールのデーターである。
3 受信メールの原データーは、受信者のPCに保管されている受信済みメールのデーターである。
4 書証の原本は、当該書証作成者の意思表示等の存在を立証するものであるとした場合、メールの原本は2記載の送信者PCに保管されているデジタルデーターということとなる。
5 送信者が提出する場合、送信メールのデジタルデーターをブリントアウトしたものであり、厳密に言えば、これも写しということとなる。「送信メールの写し」ということとなる。
5 受信者が提出する場合、受信メールのデジタルデーターをブリントアウトしたものであり、厳密に言えば、これも写しということとなる。「受信メールの写し」ということとなる。
二 ブリントアウトメールの書証提出と証拠説明
1 送受信メールの性格について、上記にように考え、かつ返信メール、転送メール、CCメール、BCメールなどの多様なメールの存在を考えると、送受信メールの証拠説明としては、このような多様な種類のメールのうち、いずれに該当し、また他のメールが含まれているか否かが、わかるものが望ましい。
2 送受信メールの証拠説明のひな形を作成してみた。
ご自由にプリントしてご試用下さい。
しかし、証拠説明書を上記のように詳細なものにし過ぎると、証拠説明書の分量が増え、実践的ではないか?
ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助罪に問われた元東京大大学院助手金子勇被告(35)に対する論告求刑公判が3日、京都地裁(氷室真裁判長)であった。
検察側は「著作権侵害に向けられた確定的犯意に基づく犯行で、被害は甚大」などとして、懲役1年を求刑した。弁護側が9月4日に最終弁論を行い、結審する。
論告で検察側は、金子被告が「インターネット社会では情報はタダで当たり前」などとネットの掲示板に書き込んでいたことを明らかにした上で、「著作権侵害にウィニーが利用されることを意図して開発、公開したことは明白」と指摘した。
(読売新聞) - 7月3日20時22分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060703-00000005-yom-soci&kz=soci
3 弁論-9月4日弁護側の弁論が行われたようである。
ウィニーの開発で、著作権法違反ほう助の罪に問われた事件で、公判に先立ち記者会見する金子勇被告。公判では改めて無罪を主張。
判決は12月13日に言い渡される
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060904-04685546-jijp-soci.view-001
●被告の行為と認識
弁護人らは、被告の行為は(著作権法違反の)正犯の客観的な助長行為となっていないと主張する。しかし、被告が開発、公開したウィニー2が、実行行為の手段を提供して、ウィニーの機能として匿名性があることで精神的にも容易ならしめた客観的側面は明らかに認められる。
ウィニー2は、それ自体はセンターサーバーを必要としない技術の一つとしてさまざまな分野に応用可能で有意義なものだ。技術自体は価値中立的であり、価値中立的な技術を提供することが犯罪行為となりかねないような、無限定な幇助(ほうじょ)犯の成立範囲の拡大も妥当でない。
結局、外部への提供行為自体が幇助行為として違法性を有するかどうかは、その技術の社会における現実の利用状況やそれに対する認識、提供する際の主観的態様によると解するべきである。
被告の捜査段階における供述や姉とのメールの内容、匿名のサイトでウィニーを公開していたことからすれば、違法なファイルのやりとりをしないような注意書きを付記していたことなどを考慮しても、被告は、ウィニーが一般の人に広がることを重視し、著作権を侵害する態様で広く利用されている現状を十分認識しながら認容した。
そうした利用が広がることで既存とは異なるビジネスモデルが生まれることも期待し、ウィニーを開発、公開しており、公然と行えることでもないとの意識も有していた。
そして、ウィニー2がウィニー1との互換性がないとしても、ウィニー2には、ほぼ同等のファイル共有機能があることなどからすれば、本件で問題とされている03年9月ごろにおいても同様の認識をして、ウィニー2の開発、公開を行っていたと認められる。
ただし、ウィニーによって著作権侵害がネット上に蔓延(まんえん)すること自体を積極的に企図したとまでは認められない。
なお、被告は公判廷でウィニーの開発、公開は技術的検証などを目指したものである旨供述し、プログラマーとしての経歴や、ウィニー2の開発を開始する際の「2ちゃんねる」への書き込み内容などからすれば、供述はその部分では信用できるが、すでに認定した被告の主観的態様と両立しうるもので、上記認定を覆すものではない。
●幇助の成否
ネット上でウィニーなどを利用してやりとりされるファイルのうち、かなりの部分が著作権の対象となり、こうしたファイル共有ソフトが著作権を侵害する態様で広く利用されている。
ウィニーが著作権侵害をしても安全なソフトとして取りざたされ、広く利用されていたという現実の利用状況の下、被告は、新しいビジネスモデルが生まれることも期待し、ウィニーが上記のような態様で利用されることを認容しながら、ウィニーの最新版をホームページに公開して不特定多数の者が入手できるようにしたと認められる。
これらを利用して正犯者が匿名性に優れたファイル共有ソフトであると認識したことを一つの契機とし、公衆送信権侵害の各実行行為に及んだことが認められるのであるから、被告がソフトを公開して不特定多数の者が入手できるよう提供した行為は幇助犯を構成すると評価できる。
●量刑の理由
被告は、ウィニーを開発、公開することで、これを利用する者の多くが著作権者の承諾を得ないで著作物ファイルのやりとりをし、著作権者の有する利益を侵害するであろうことを明確に認識、認容していたにもかかわらず、ウィニーの公開、提供を継続していた。
このような被告の行為は、自己の行為によって社会に生じる弊害を十分知りつつも、その弊害を顧みることなく、あえて自己の欲するまま行為に及んだもので、独善的かつ無責任な態度といえ、非難は免れない。
また、正犯者らが著作権法違反の本件各実行行為に及ぶ際、ウィニーが、重要かつ不可欠な役割を果たした▽ウィニーネットワークにデータが流出すれば回収なども著しく困難▽ウィニーの利用者が相当多数いること、などからすれば、被告のウィニー公開、提供という行為が、本件の各著作権者が有する公衆送信権に与えた影響の程度も相当大きく、正犯者らの行為によって生じた結果に対する被告の寄与の程度も決して少ないものではない。
もっとも被告はウィニーの公開、提供を行う際に、ネット上における著作物のやりとりに関して、著作権侵害の状態をことさら生じさせることを企図していたわけではない。著作権制度が維持されるためにはネット上における新たなビジネスモデルを構築する必要性、可能性があることを技術者の立場として視野に入れながら、自己のプログラマーとしての新しい技術の開発という目的も持ちつつ、ウィニーの開発、公開を行っていたという側面もある。
被告は、本件によって何らかの経済的利益を得ようとしていたものではなく、実際、ウィニーによって直接経済的利益を得たとも認められないこと、何らの前科もないことなど、被告に有利な事情もある。
以上、被告にとって有利、不利な事情を総合的に考慮して、罰金刑に処するのが相当だ。
http://www.asahi.com/national/update/1213/OSK200612130057.html
● 侵害行為が蔓延するのは必然、被告は判決を重く受け止めてほしい~ACCS
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)では、著作権侵害を防ぐ措置を講じないままファイル交換ソフトを開発・頒布すれば、そのネットワークを通じて侵害行為が蔓延するのは必然であるとした上で、「裁判所が認定した事実からすれば、本日の判決は妥当。被告には、この結果を重く受け止めてほしい」とコメントしている。
さらに、「ゲームなどのソフトウェア、音楽、映画などの著作物を著作権者に断りなくWinnyを使ってアップロードすることは、著作権法に違反する行為(公衆送信権侵害)に変わりない」として、Winnyユーザーに対して違法行為を中止するように呼びかけた。
● 捜査機関が再びWinnyユーザー摘発に乗り出す可能性も~ネットエージェント
ネットワークセキュリティを手がけるネットエージェントの杉浦隆幸代表取締役社長によれば、12月現在のWinnyユーザー(1日あたり)は平日で約39万人、土日で約45万人に上る。今回の判決がWinnyユーザーに与える影響については、「短期間でユーザー数が急減するかは不明」という。
杉浦社長は、今後、ファイル交換ソフト利用者が逮捕される可能性を指摘する。Winnyユーザーの著作権法違反容疑での摘発としては、2003年11月に2名が逮捕されたのみだが、「今回の裁判の判決が下されるまで、捜査機関は摘発に踏み切れなかった」と分析。「金子氏に有罪判決が下されたことで、捜査機関は、他人の著作物を流通させているユーザーを(著作権法違反の正犯として)取り締まることも予想される」。
● コンテンツ配信システム「SkeedCast」には影響なし~IIJ
また、金子氏が開発に参画したコンテンツ配信システム「SkeedCast(スキードキャスト)」を手がけるドリームボートに出資するインターネットイニシアティブ(IIJ)では、「SkeedCastはP2P技術を活用しているが、ファイルをアップロードできる人を限定したり、Windows Media DRMによる著作権管理を施している点などが、Winnyとは異なる。そのため、今回の判決がSkeedCastに与える影響はない」とコメントしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061214-00000023-imp-sci
一方、今回の判決に関して、毎日新聞のWeb版で法律の専門家は、次のようにコメントしている。しかし、技術者がなぜ萎縮することに繋がるのか理解できず、コメントの主旨がいま一つ理解できない。
▽ネット社会に詳しい岡村久道弁護士(大阪弁護士会)の話 ウィニーが客観的に見て、料理にも殺人にも使える包丁なのか、もっぱら違法行為に使われるピストルなのかが問われていたのに、判決は踏み込んでいない。少子高齢化の中でハイテク技術大国を目指す日本の司法が、ハイテク先端部門にきちんとした判断をできなかった。委縮効果を生む懸念がある。
私は、むしろ、今回の判決を受けて、社会のインフラとなる技術の開発に取り組む者は、単に技術のシーズだけに捉われ、技術至上主義に陥ってはならいと、警鐘をならしている判決と受け止めた。
ウイニーのような社会のインフラとなる技術を世に出す場合は、どのような手法で開発すべきか、法律家からの適切で実践的なアトバイスが望まれる。そして、法律面からそれに答えられる法律の専門家が必要とされているのだろうと思う。
http://www.ofours.com/bentenkozo/
1 小倉秀夫弁護士と壇俊光弁護士の意見交換が記載されていた。
Winny事件地裁判決については、既に東大とSofticとで研究発表していることもあり、このシンポジウムには参加しないような法学研究者や法律実務家の感想というのも私は聞いていました。そういう観点から見ると、現状の方針では高裁で逆転無罪を勝ち取るには厳しいのではないかという感想を持ちました。
まず、Winnyにおいて「キャッシュ」といわれている仕組みは何のために用意されたのかという質問を、両研究会において受けたわけですが、実際、第1放流者のIPアドレスを隠蔽する必要性というのが「Winny」における「ファイル共有」には見いだしにくいと思います。もちろん、金子さんの本には「プライバシー保護」というお題目を掲げているし、壇先生は「IPアドレスもプライバシーの対象でしょう」とはおっしゃるのですが、その漠然とした「Winnyネットワークに放流するファイルが違法性を欠くものであったとしても第1放流者がIPアドレスを知られたくない」という希望に叶えることが、第1放流者のIPアドレスを隠蔽することにより著作権侵害ファイル等の違法ファイルの放流を助長してしまうというデメリットを凌駕するほどの社会的な利益として認めてもらえるのかというと、少なくとも日本の高等裁判所、特に刑事部では難しいのではないかという気がしています。
また、Winny2において、Winny1のそれよりは機能的に劣るものであるとはいえ、ファイル共有機能を付加した理由というのも、説得的に説明できていないなあと思いました。電子掲示板の管理に必要な「ネットワーク上から特定の情報を消去する機能」が完成したのでそれをファイル共有部分にも応用してみたというのであればそれを全面に押し出せばいいわけですが、そうでないのであれば、既にWinny1で実験を完了しているはずのファイル共有機能をWinny2に実装した動機を「実験目的」という言葉で押し切るのは難しいのではないかと思いました。
壇弁護士
Winny事件地裁判決は、技術の価値中立性及び有用性は認められております。
また、Winnyに匿名性技術があるとして有罪とされたわけではありません。
判決は、Winnyの機能の有意義性については、特定の機能に限定した記載になっておりません。
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2007/02/post_6bd1.html
ウィニー2は、それ自体はセンターサーバーを必要としない技術の一つとしてさまざまな分野に応用可能で有意義なものだ。技術自体は価値中立的であり、価値中立的な技術を提供することが犯罪行為となりかねないような、無限定な幇助(ほうじょ)犯の成立範囲の拡大も妥当でない。
結局、外部への提供行為自体が幇助行為として違法性を有するかどうかは、その技術の社会における現実の利用状況やそれに対する認識、提供する際の主観的態様によると解するべきである。
二 Winnyの持つ匿名性の有意義性
1 さらに、上記で小倉弁護士は、次のように述べている。
三 技術放流と技術者に期待されるもの
1 こんな報道がある。
電子メールのアドレスを相手に知られることなく送信でき、受信者は送信先のアドレスが分からなくても返信できる「匿名通信手法」を、電気通信大学情報通信工学科の國廣昇・助教授と同大大学院学生の鳥山浩氏らが開発した。現在、発信者のアドレスが受信者に分かってしまうが、アドレスを隠すことができるため、「いじめなどの相談を生徒が先生にしたり、組織の内部告発をする場合に役立つのでは」(鳥山氏)としている。
電通大ではこの技術の特許などを取らず公開し、ソフトウエア会社などの匿名メールソフト開発に役立ててもらう。
電子メールは、インターネットを構成している複数のサーバーを次々に経由してあて先のメールボックスに届く仕組みで、発信者のメールアドレスが受信者に分かるようになっている。このため、メールを使って内部告発をしようと思っても、自分のメールアドレスが相手に知られてしまい、プライバシーを守りにくいことから、内部告発にはメールを使いにくいと指摘されている。
電通大が開発した技術は、インターネット上のサーバーがメールにつける暗号を利用する。発信者が、専用の匿名メールソフトを使い、メールを流すサーバーのルートを複雑に設定すると、メールには幾重にも暗号がかけられ、メールを送信すると、サーバーが暗号を1つずつ解除しながらメールを最終的にメールのあて先に届ける。受信者も匿名メールソフトをコンピューターに組み込んでいれば、発信先のアドレスがわからなくても、メールが来たルートの逆をたどって、発信者のもとにメールを返信できる仕組みだ。
社会問題になっている匿名ファイル交換ソフト「ウィニー」は、隣同士のサーバーは分かっても、その先に無限のサーバーがつながっていて誰がファイルを公開したかが分からない構造となっているが、今回の技術はそのメール版といえる。
匿名通信は、ポーランドのヴロツワフ工科大学の研究グループが、発信者があらかじめ複雑な経由ルートを決め、メールに何重にも暗号をかけて送る技術を開発しているが、受信者が発信者に返信できず、一方通行にとどまっていた。電通大グループはこれを改良し、メールが流れてきた順番の逆向きサーバーをたどっていけるようにした。
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20343423,00.htm
第二 国外サーバー運営者に対する捜査
1 日本の警察は、海外所在サーバーに対する捜査照会等について、その可否について消極的見解を採用しているようである。
2 その当否は、検討未了である。
第三 わいせつ物陳列罪と国外犯、インターネット
1 日本国刑法のわいせつ物陳列罪は、国内犯処罰規定である。
刑法(国内犯)
第1条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。(すべての者の国外犯)
第2条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一 削除
二 第77条から第79条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三 第81条(外患誘致)、第82条(外患援助)、第87条(未遂罪)及び第88条(予備及び陰謀)の罪
四 第148条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五 第154条(詔書偽造等)、第155条(公文書偽造等)、第157条(公正証書原本不実記載等)、第158条(偽造公文書行使等)及び公務所又は公務員によって作られるべき電磁的記録に係る第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)の罪
六 第162条(有価証券偽造等)及び第163条(偽造有価証券行使等)の罪
七 第163条の2から第163条の5まで(支払用カード電磁的記録不正作出等、不正電磁的記録カード所持、支払用カード電磁的記録不正作出準備、未遂罪)の罪
八 第164条から第166条まで(御璽偽造及び不正使用等、公印偽造及び不正使用等、公記号偽造及び不正使用等)の罪並びに第164条第2項、第165条第2項及び第166条第2項の罪の未遂罪
2 国内犯か否かの判定基準は、判例によると、構成要件該当事実の全部ないし一部が国内において存在すれば足りるとされている(大阪地裁平成11年2月23日判決・大阪地裁平成11年3月19日判決、「サイバー・ポルノの刑事規制」永井善之著232頁以下)。
3 わいせつ物の頒布ないし陳列という結果は、日本国内のPCにデーターをダウンロードするという事実ないしダウンロードしたデーターを再現するという事実により充足されている。
4 とすれば、理論的には、外国において外国に設置されているサーバー内にわいせつデーターをアップロードすることにより、日本国刑法に触れることとなる。
刑法(わいせつ物頒布等)
第175条
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
5 4記載の海外における海外サーバーへのわいせつデーターのアップロード行為について日本の刑法のわいせつ物公然陳列罪により処罰できるのか否かについて、学説上は肯定説、否定説があり、現在まで、摘発事例及び裁判例はないようである(日本からアップロードした摘発事例や裁判例はある)。
6 弁護士実務として、上記についての問い合わせを受けた場合の回答はいかにすべきなのか。
イ 刑法理論的には可罰行為と理解できる。
ロ しかし、現在までの摘発事例及び裁判例はないようである。
ハ 摘発は、国と国との裁判権の問題や国境を越えた自由の問題という国際問題にもなりかねないのみならず、警察等の人的、物的設備から摘発が抑制されていると理解可能。
ニ 弁護士として、なんとも回答のしょうがない!! 上記イ、ロ及びハを述べることしかできない。
7 上記のようなサービス提供への関与と罪
イ 上記のように国外における国外サーバーへのアップロード自体、理論的には日本国刑法175条に該当するとした場合、そのようなサービスを提供しているという事情を承知のうえで、メンテナンス行為、顧客管理その他の行為をすることは、刑法175条の幇助行為に該当し、これも理論的には可罰的行為となることとなる。
ロ う~~む。
刑法(幇助)
第六十二条 正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
(従犯減軽)
第六十三条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
ハ 大阪の奥村弁護士のML投稿によれば、「実務的には、全部外国でやっても、日本で観客を募る行為があれば刑法175条を適用しているようです」ということである。
「幇助行為自体が、日本国内に存在すれば当該幇助行為については摘発する」ということであれば、捜査機関の摘発方針は、それなりに一貫性はあるか?
ニ 確かに、「幇助行為自体が、日本国内に存在すれば摘発する」ということであれば、日本国内において法益侵害行為を助長ないし増幅させる行為があるのだから、日本の捜査機関として摘発は当然か。
これだけに止まるのならば、国境を越えた国際上の問題には発展しないか?
「正犯は摘発しないが、幇助犯は摘発する!!」
一国の刑事司法の抑制による、従犯のみ独立処罰!!
一見、矛盾するような形ではあるが、「一国の刑事司法の限界とその抑制 」という観点から、是認できるか?
どこかの国にあった「死刑宣告!!」の事例とは、逆の発想である。
ホ 国外のわいせつ物陳列サイトの紹介とリンク行為についても、上記のような実務的基準の適用が可能か。
8 アダルトサイト運営者の実務
アダルトサイトを米国のサーバーをレンタルして運営している業者らは、CDロムに焼き付けたデーターを米国まで飛行機に乗って自ら運搬しているようである。
「日本から、外国に設置されているサーバー内にわいせつデーターをアップロードすることにより、日本国刑法に触れる」こととなり、またそのような行為をすれば警察の摘発を受けることとなるからである。
自ら米国内に行き、米国内でサーバーにデーターをアップロードしても、現在のところ、日本の警察は摘発しないようであるからである。
アダルトサイト運営による収益からすれば米国へ行く飛行機代等の交通費はわずかだそうだ。
第四 国外のわいせつ物陳列サイトの紹介とリンク行為
1 国外のわいせつ物陳列サイトの紹介とリンク行為についても、NO1記載のような実務的基準の適用が可能か。
2 自己管理にかかるサイトに国外のわいせつ物陳列サイトの紹介とともに当該サイトのURLを表示してリンクを貼る行為は、その自己管理にかかるサイトのサーバーが国内にあるのはもちろんのこと国外にある場合においても、「URLを表示してリンクを貼った」htmファイルなどをサーバーにアップロードするという行為が国内において行われており、幇助行為が国内において行われたと評価することが可能である。
3 NO1記載のような実務的基準の適用が可能であるとしても、各国により法的評価を異にしているという事実、法的評価を異にするこれらわいせつ物の閲覧自体の規制が困難であるという事実、わいせつという構成要件要素は社会の変化により微妙にその内容が変動し得るものであるという事実等、「わいせつ物陳列サイトの紹介とともに当該サイトのURLを表示してリンクを貼る行為」の可罰性の程度と検挙摘発の必要性、そして検索エンジンの社会的有用性(wwwの意味と機能の評価)などを総合勘案する必要もある。
4 難しい問題であるが、結論的には、検索エンジンの社会的有用性(wwwの意味と機能の評価)の肯定から、単なるリンク行為を処罰するのは不当という結論になるのか。
第五 サイバー犯罪に関する条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty159_4a.pdf
1 氏名、会社名等を詐称してHP作製、掲示板書き込みなど
(1) 詐称確認できれば、削除措置
]]>