交通事故損害賠償請求遅延損害金計算書
「労災障害年金などは、休業損害を含む逸失利益についての損害についてのみ」充当が認められています。
逸失利益金にのみ充当ということは、
遅延損害金の計算をする場合
逸失利益がある限り、逸失利益金に充当する。
遅延損害金に充当してはならない。
即ち、逸失利益金という損害金(という 元金)についてのみ 充当することとなります。
言葉を換えれば、
逸失利益に充当した後に、年金が支払われた場合 損害金に充当する必要はない、損益相殺する必要がなくなるのです。
損害賠償金計算において、受領金額として計算させる必要はないのです。
上記事情から、「交通事故損害賠償請求遅延損害金計算書」では
計算書の右欄の方に
逸失利益金額 合計の入力欄を設置し
その未受領残がある限りにおいて、受領金額として入力するように注意するようにしているのです。
東京地裁判決
東京地裁平成21年12月10日判決
労災保険法による障害年金は、労働者が業務上又は通勤により疾病にかかり又は負傷等し障害が存する場合に支給されるものであり、障害厚生年金及び障害基礎年金は、年金の受給権者が疾病にかかり又は負傷等し障害がある場合に支給されるものである(労災保険法22条、厚生年金保険法47条、国民年金法30条)。そうすると、これらの給付は、いずれも加害者の損害賠償責任を前提とするものではなく、支給額全額が労働者や受給権者に生じた障害に対する給付の趣旨であると解される。
労災保険給付や厚生年金等の趣旨及び法律の規定によると、労災保険法による障害給付、障害厚生年金、障害基礎年金の支給がされた場合には、いずれも元本に充当されると解するのが相当である。ただし、前記のとおり、事故の日から遅延損害金は発生しているのであり、これらの各支給日に、当該支給額が元本に充当されることになる。