第5回 エコロジー

  解答・解説


食卓に上る魚介類を見つめてみよう。

  • 私たちが食べている魚介類のうち、天然魚、養殖魚はどれくらいか。

     ぶり、たい、ふぐ、ひらめ、さけ、あじなどの高級魚やあゆ、うなぎ、にじます、こいなどの淡水魚が多く養殖されている。なかでも最も古くから養殖されているのはぶりで生産量が最も多い。養殖によって供給量と価格の安定がはかられている。


    (開隆堂 食品成分表)

      天然魚と養殖魚では、運動性やえさなどの違いによって、体つき成分、肉質が異なる。
     
    (開隆堂 食品成分表)
    天然魚と養殖魚の脂肪含量の比較(%)
    魚 種 天然魚 養殖魚
     ぶ り 1,9 8,7
     まだい 1,2 4,5
     まあじ 7,7 10,9
     あ ゆ 3,6 7,3

    (開隆堂 食品成分表)
    天然魚と養殖魚の違い
    魚 類 部 位 天然魚 養 殖 魚
    まだい 体表 赤色 黒みのある赤
    肉色 白色 赤みがある。
    ぶ り 肉色 淡赤色 透明感がなく、白っぽい
    肉質 かたい やわらかい

  • 輸入されている魚介類も多い。その実態を調べよう。

     魚介類は、日本の動物たんぱく質供給量の 約40%を占める重要な食品である。 現在でも食用魚介類の約60%は我が国の漁業生産によるものであるが、水産物の輸入が増加して年々その比率は低下している。特に、えび類、まぐろ、かじき類、さけ、ます類、たら類は、供給量の約半分またはそれ以上を輸入ものが占めている。
    (開隆堂 食品成分表)資料




  • 輸入や養殖に頼る状況は、私たちの生活にどのような影響を与えているだろうか。
     その問題点を探ろう。

     日本一の「水揚げ」量の成田空港 冷凍マグロも空を飛ぶ
    ・・・魚介類の輸入玄関は成田漁港 と言われ多くの魚介類が輸入されている。

     私たちの生活への影響とその問題点

    • 輸入食品の増加によって
        様々な種類の魚介類が安価に手軽に提供される。 また、他国との貿易摩擦の解消に役立てたいという意見もある。
    • 養殖によって
        気候などに左右されない安定した供給量と価格が提供される。
    • 国内の生産者にもよい面で刺激をあたえているのではと言われている。
     しかし、その一方で・・・・・
    • 安全性への疑問が残るのでは?
       深刻な魚介類の化学物質汚染
       環境ホルモンによる汚染
         環境ホルモンは、学問的には「内分泌かく乱物質」とよばれる。環境ホルモンの全容はまだ明らかになっていないが、ごく微量であっても体内に入るとホルモンに似た働きをして、生体をかく乱したり、生体のホルモン量を変化させたりするといわれ、その影響による障害は、何年も先になって表面に表れてくる可能性がある。発生源として、肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品やプラスチック製品(合成樹脂の食器、ラップ、ペットボトルなど)、殺菌剤、殺虫剤が考えられ大きな問題となっている。

         日本人は環境ホルモンの1つダイオキシン類の約6割を魚介類から摂取していると言われている。日本でも都市沿岸魚は、特に汚染されていると言われているが、捕獲地にも差がある。しかし、天然魚の安全性も懸念される一方で、ハマチなどは天然のものより養殖魚の方が汚染されていると言われている。
          また、ダイオキシンの他にも有機スズによる汚染、特に毒性の強いTBT(ト リブチルスズ)、TPT(トリフェニルスズ)などはこれまで船底塗料や養殖 魚網の防汚剤などに大量に使われてきた。養殖ハマチに背曲がりなどが多発し、 養殖場の有機スズ乱用の実態が大問題になったのは、つい十余年前のことであ る。日本は1997年までにすべての使用が禁止されたが、規制のない国もあ り国際的に全面禁止が検討されているが、当分汚染の心配が続くだろう。

      その他の汚染
        輸入魚
         薬物汚染、加工食品の食品添加物など安全の基準が国によって異なり、その検査体制が充分ではない面もある。最近は輸入養殖魚も増えており、薬品の使用状態が国内産以上につかみにくいところも気がかりである。

        養殖魚
         過密状態で養殖されることが多く、病気予防の抗生物質や抗菌剤などが投与され残留薬物汚染が心配だと言われている。

    • 輸入品に押され国内の漁業経営が難しくなるのでないかとも懸念されている。
    • 国際関係が不安定になった場合、自給率が低い日本は食料の国内確保が難しい
    • 日本の豊かさの裏側には、輸入元である現地での日本企業による経営方法、漁業方法から問題も起こっている。現地の人々の生活環境悪化が指摘されている。

     魚介類だけでなく、日本の米以外の食料の多くは輸入によって需要の不足を補ってい る。さらに、生鮮食品である野菜や果物の輸入も増加、その種類も多くなっている。

     食糧の輸入は私たちの生活に様々な面で大きな影響を及ぼす。また、一国の利益からだけでは判断できない問題であり、慎重に考えていきたい。

参考文献
    「 イラスト版輸入食品のすべて 」
      合同出版
    「食品成分表」
      開隆堂
    「環境ホルモンから身を 守る食べ方」
      女子栄養大学出版部
    「よくわかるダイオキシン汚染」
      合同出版
    「豊かさの裏側」
      学陽書房

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