コピー機とプリンタ

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 一週間ほど前だったか、家のお寺の住職から電話があった。

 住職は、受話器の先で、「輪転機をパソコンに繋いだら、パソコンが動かなくなって、ホトホト困っている・・・」と言っている。
 しかしである。そもそも、パソコンに接続する輪転機とは、どういった機械なのか想像が付かない。輪転機とは、本を印刷する時などに使う印刷機のことだと思っていた。お寺の機関紙を本格的な印刷機で印刷しようというのだろうか。
 そう思いながらも、注意深く住職の話を聞いていた。どうも住職の言う輪転機というのは、プリンタ機能が付いたコピー機のことのようである。

 住職が電話を掛けてきたのは、このコピー機を納めにきた販社の担当者(技術者?)が、プリンタをネットワークで使えるように設置したが、結局は住職のパソコンからは使えるようにならなかった。
 そこで、住職のバソコンにインストールしたプリンタに関連するプログラムを削除して、インストールする前の状態に戻してもらった。ところが、今まで住職のパソコンで動いていたものが動かなくなった。パソコンが、うまく元通りにならなくて困っているということのようである。

 コピー機を設置しにきた担当者に、「今まで動いていたものが動かなくなった」と怒ったら、「私は手順通りやっただけ。前から動かなかったのではないですか」と言って帰っていった。週明けに、専門家を連れて、また設定に来るという。しかし、適当に誤魔化されそうで心配だというものであった。
 何はともあれ、電話ではらちがあかないと思ので、車でお寺に向かった。

 お寺の事務所に入ったら、大きなコピー機が2台もあった。一台は今まで使っていたと言うコピー機。もう一台は、新しく買おうとしている問題のコピー機である。
 どうして2台も必要なのか不可解に思いながら、住職の話を聞いていた。住職が、なぜ輪転機というのか、段々と分ってきた。

 要するに、新しく買うコピー機をネットワークに繋いで、プリンタとしても使おうといているわけである。一般的に、コピー機というのは、コピーや印刷をする度に、一枚何円と使用料をチャージしていく料金体系を取っている。この料金が馬鹿にならない。そこで、枚数でチャージされないコピー機を入れてプリンタとして使って、印刷費用を節約しようと考えているわけである。
 そして、今までのコピー機と併用するために、パソコンが印刷枚数に合わせて、印刷よりもコピーの方が安い場合は、自動的にコピー機能で印刷すると言うものであった。
 この、枚数チャージ方式でないコピー機(プリンタ)のことを、住職は、「輪転機」と呼んでいたのである。

 住職は安くしてもらったのだと、見積書を見せてくれた。定価は、百万円以上しているコピー機である。 見積書では、定価の半額位までに値引きされていたが、それにしても高額である。その他に、保守料など、本体以外に、結構な価格の項目が並んでいた。

 確かに、印刷費用を安くするには一定の効果があるように思うが、仕組みの割には経費節減効果は薄いように思えた。
 コピー機メーカにしてみれば、引き続き自社のコピー機を使ってもらうためには、最善の提案ということであろう。

 寺からの帰り道。なんとももったいない気がしてきて、この際、住職に、冷静に検討し直してもらった方が良いと思った。家に帰ってから、インターネットで、お寺の利用目的に合うであろうと思われる、コピー機としてもプリンタとしても使える複合機を探して、それをFAXした。初期導入費や、印刷代といった維持費を、トータルで見ると、かなり安くて済むことになる。

 今までのコピー機は、FAXとしても使っている。この際、FAXとコピー機と、輪転機(印刷機)として使えるレーザプリンタ(複合機)にすれば、それ一台で事が済んでしまう。保守費も、今までと比べれば、極端に少なくて済む。
 ひょっとするとレーザ複合機にする必要もないかも知れない。最近では、レーザプリンタに引けを取らない印刷性能を持ったインクジット複合機もある。これで事が足りれば、劇的にコストを削減できる。

 住職は、直にFAXを見たようで、ビックリしたと電話が掛かってきた。今回の契約を白紙に戻して考え直しているかも知れない。

 コピー機の競合相手は、他社のコピー機ではなく、プリンタになったということだろう。メーカにしても、我々利用者にしても、世の中の動きを魚眼的に見ることが大切だという良い例だろうと思う。

(なお、残念ながら、住職のパソコンは、元には戻らなかった)


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このページは、弁天小僧が2006年7月 9日 20:50に書いたブログ記事です。

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