2007年1月アーカイブ

 この季節はやはり「おでん」だ。だいこん、がんも、つくね、ばくだん、ロールキャベツと言うのも良い。でも、なんと言っても「かに面」である。
 金沢の香林坊にあるティファニーの前の信号を渡って、ちょっと下ったところに「よし坊」というおでん屋がある。何年か前に、某国営テレビで、金沢のおでんとして「かに面」を紹介していたけど、金沢で、「かに面」を食べさせてくれるのは、私の知っている限りでは「よし坊」だけである。「かに面」は、金沢の郷土料理のような誤解を与えるような紹介はまずいと思っている。
 まぁ~、理屈っぽい話は別にして、よし坊の奥さんの受け売りだけど、おでんの具には、味を吸う具と、味を出す具があって、この具のバランスが、その店の味。多分、そうだろうと思う。だから、奥さんに教えてもらった店の秘伝の作り方で、自分の家で「かに面」だけを作ってみたところで、やっぱり「よし坊」の味にはかなわない。
 そういえば、店の奥さんが、先週、ミスター阪神タイガース掛布さんが、久し振りに店に寄ったとか。富山の高岡で講演会があったが、よし坊のおでんが食べたくて、金沢に宿を取った。ところが、よし坊の名前が思い出せなくて、太洋の加藤さんに電話して、店の名前を思い出したと、嬉しい話をしてくれたと。現役の頃、地方での試合の時に、二人でよくよし坊に来ていたようである。
 携帯電話のストラップにするような、KAKEFUと書いてある小さい野球ボールをくれたので、サインをして頂戴と頼んだら、ペン先が太いのどうのと言いながらも、心よくサインしてくれたと言って、そのサインボールを見せてくれた。
 その内、掛布さんの経営する店で、かに面を出すようになるかも知れない。でもやっぱり、かに面は「よし坊」。まねはできないと思う。

 20日のYahoo!ニュースで、「婦女暴行未遂で服役男性は無実、公判中の男逮捕…富山」といったニュースが配信された。この報道を見て直に、「刑事訴訟の仕組み」(弁護士五右衛門著)で解説されている「自白は証拠の王様!?」そして、「留置所の神秘」がなせる業ではないかと思った。

 また、22日に公開された周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」も、刑事裁判(刑事訴訟)の不思議と実際を取り上げた作品のように思える。

 冒頭でご紹介した「刑事訴訟の仕組み」を、勾留中の依頼人に差し入れた弁護士さんから「(依頼人が)あの本があったおかげで心強かったと感謝しておりましたので、依頼者にかわってお礼を申し上げたいと思います。」といった感想が寄せられたのを思い出す。
 ひょっとしたら、富山の事件の被疑者や映画の主人公がこの本を読んでいたら、冤罪は避けられたかも知れないと感じる。

 そう言う私たちも、何時身に覚えのない罪で逮捕されるかも分らない。そして、近い将来、裁判員として、被告を裁く立場になるかも知れない。

 「刑事訴訟の仕組み」を読むと、テレビドラマの世界と違った、刑事裁判の実際が見えてくるように思う。多くの人に読んで欲しいと思う。

刑事訴訟の仕組み
  弁護士 五右衛門 著
  ISBN4-902182-03-3
  A5版 280頁
  定価 3360円


 最近話題のホワイトカラー・エクゼンプション(日本語では、「事務職労働時間規制適用免除制度」とでも言えばよいのだろうか。)について考えた。
 この制度は、労働を、働いた時間数ではなく、成果で評価してくれる制度ということで、労働者に取ってみても有難い制度のように映る。しかし、よく考えてみれば、賃金コストを抑えるための制度と見る方が良さそうである。

 この制度で、事務職の収入が多くなるかといえば、極一部の人の収入が多くなるかも知れない。しかし、全体で見れば、賃金を抑える効果の方が大きいと思われる。
 すなわち、仕事の効率を労働者の裁量に任せるということであり、健康管理など面倒なことは全て労働者に押し付ける制度のように思える。
 結局のところ、この制度の中で、競争社会に置かれる多くの事務職は、自分の全ての時間を、仕事に使わざるを得ないことになる。
 最近は、パソコンを始めとしたモバイル用の事務機器や、それらを繋げる通信回線も、個人で簡単に使える環境になってきている。会社であれ、自宅であれ、移動中の車の中であれ、バカンスで温泉に浸かりながら、これら機器を使って仕事をすることになる。これが、極々当たり前の仕事のやり方となっていくだろうし、そういった働き方を要求されることになる。

 このように仕事とプラベートの区別が見えづらい中で、他者と競争しないといけないとすれば、当然の帰結として、仕事に明け暮れることになる。それでも、収入が増えれば多少は救われる。しかし、そう単純な話ではないだろう。きっと、公私の区別なく仕事ができない人が弾き出されて収入が下がるだけで、多くの人の収入が増えることには繋がらないだろう。

 このホワイトカラー・エクゼンプションという制度は、米国からの要求によるものらしい。日本社会が、グローバル化に対応するために、必要な制度であると言う人もいる。
 しかしながら、労働者に、こういった環境で仕事をさせることが、日本社会の国際競争力を高めることに繋がるのかどうか。もっと議論し、見極める必要があるように思う。

 この制度が、日本社会を不安定にし、危うくすることにならないかと、不安が募る。我々の世代にとって、米国はあこがれの国であったのは確かである。しかし、根っ子のところで、「米国は米国。日本は日本。」と言う気持ちも強かった。小泉政権以来、グローバル化の名の下に、郵政民営化を始め、全てを米国風にと言われているようでもあり、気に食わないと言った思いもある。


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