配当手続き完了後に現れた債権者

 限定承認手続きをし、配当手続きが完了した後に、残余財産があった場合、限定承認者は、限定承認手続き終了により、その残余財産と限定承認者の固有財産とを混同させることになる。その後、配当していない債権者が現れたら、どうなるのか。

A 債権届け出を求める官報公告をしたにもかかわらず、債権届け出をしなかった債権者の除斥は、あくまでも、配当手続きからの除斥であって、当該相続債権の存在を否定する効果はない。

 配当手続き終了後、相続債権者が現れる場合のことを考えれば、配当手続き完了後、固有財産と混同させる時に、「当該残余財産の金額、明細」を客観的証拠資料とともに残し、限定承認者が相続債権者の債務の弁済にあてるべき残余財産の内容を確認できるようにしておき、その残余財産の限度で、現れた債権者に債務の弁済を行わなければならない。


詳しくは「改訂限定相続の実務」で。

相続選択行為等についての取消、錯誤無効など

最高裁昭和40年 5月27日第一小法廷判決

 相続放棄は家庭裁判所がその申述を受理することによりその効力を生ずるものであるが、その性質は私法上の財産法上の法律行為であるから、これにつき民法95条の規定の適用があることは当然であり(昭和二七年(オ)七四三号・同三〇年九月三〇日第二小法廷判決・裁判集民事一九号七三一頁参照)、従つて、これに反する見解を主張する論旨は理由がなく、また、原審確定の事実関係に照らせば、被上告人早河としをを除くその余の被上告人らの本件相続放棄に関する錯誤は単なる縁由に関するものにすぎなかつた旨の原審の判断は、是認するに足りる。論旨は採用できない。


【解説】

相続の承認は単純承認と限定承認を含むものであり、相続態様の選択行為である単純承認、限定承認及び相続放棄は、いずれも、その意思表示は取消権等の対象となり得ることを注意的に規定しているのである。

上記最高裁昭和40年 5月27日第一小法廷判決が判示しているとおり、相続放棄や限定相続の申述という法律行為は、民法が定める意思表示の瑕疵に関する諸規定の適用を当然受けるものであり、これらの諸規定に従い、相続放棄や限定相続の申述行為の取消や錯誤無効の主張等も可能ということとなる。

従って、仮に法定単純承認事由に該当する行為その他の相続態様選択に関連する行為がが存在していたとしても、その行為について、錯誤無効や取消の主張ができる事例か否かを判断しないと、最終的な、相続態様選択についての結論を出すことはできないということとなる。


詳しくは「改訂限定相続の実務」で。



換金困難な遺産の処理(限定相続で)

 会員権のような換金困難な遺産がある場合、換価ができないと、限定承認の手続を終えることはできないのか。最終的には当該会員権を放棄するしかないのか。


A 限定承認者の誰かが先買権行使をしてくれれば換価完了する。

しかし、先買権行使をしてくれない場合、換価できないということで、手続き終了困難となる。限定承認に関する規定の不備のひとつである。

例えば、換価できない間に会員権維持のための会費の源資がないということで、財産管理人が会費を納入できず、会員権資格を剥奪されても、民法926条所定の管理義務違反に該当しないと構成できれば、「放棄」と同様の結果となる。

更に、会費のようなものが不要な場合でも、競売手続きによる換金が不能な場合には事実上無価値なものとして、清算、弁済手続きを終了させるほかない。

但し、これらの場合、債権者に対する何らかの手当てが必要となる可能性がある。


詳しくは「改訂限定相続の実務」で。




「改訂限定相続の実務」完売間近

昨年(平成22年)5月に発行した「改訂限定相続の実務」の在庫が200冊を切りました。増刷を検討しておりますが、増刷前に売り切れ状態になる可能性もあります。ご購入を予定されている方は、お早めにご注文いただければと思います。

延滞金計算くんのQ&A

  • 更新日:
「延滞金計算くん」のページにQ&Aの掲載を開始しました。

延滞金計算くん

新・端数期間暦年計算書

  • 更新日:
cover_s.gif
 「端数期間暦年計算書」に息制限法2条(利息の天引き)に対応した計算書である「端数期間暦年・利息制限法2条計算版J1200」を収録した「新・端数期間暦年計算書」の販売を始しました。

なお、新・端数期間暦年計算書」に伴い、「端数期間暦年計算書」の販売は終了しました。

(利息の天引き)
利息制限法2条
利息の天引きをした場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条に規定する利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。







例えば 200万円を借りる際に、弁済日を一年後として利率15%で30万円を利息として天引きされて170万円受け取る。この際、一年後の170万円に対する利息は25万5千円である。利息として超過して天引きしている5千円は、元本から差し引いて195万5千円が残元本となる。 といった計算もでき、弁済や追加借入といった計算も可能です。過払い金が発生した場合は、過払い金の計算もします。

収録計算書一覧

  • 数期間暦年・計算シート2000ormore
  • 端数期間暦年・利息制限法2条計算版J1200
  • 端数期間暦年計算・J1200版2000ormore
  • 端数期間暦年計算・J内金利息計算版2000ormore
  • 端数期間暦年計算・J版2000ormore
  • 端数期間暦年計算・J版複利選択版2000ormore

延滞金計算くん」では、バージョンV20100709以降、入金された一部金額を、遅延損害金に充当した後、元金に充当する「延滞金計算書」と、元金への充当後、遅延損害金に充当する「延滞金元金先充当計算変形版」の二種類の計算書をご利用いただけるようになりました。

多種多様な相続事案に活用できる優れた制度

(著者からの言葉?弁護士五右衛門・大阪弁護士会服部廣志より) 

法律と税務が交錯する「限定相続」については、弁護士も会計士、税理士も、その不勉強が理由で避けてきた。

「限定相続は危険だから避けた方がいい」と言う人もいる。マクロ的には限定相続をした者を保護するための「みなし譲渡所得課税の制度」がミクロ的には限定相続人に不利益を与えるという側面もあること、そして、限定相続の特質ともいうべき「責任限定の制度」等を正しく理解しないことに起因すると思われる。

専門家がこの限定相続から逃避し避けることにより、多くの限定相続を相当とする相続事件が単純相続ないし相続放棄という形態を選択させられることとなり、法律が予定した限定相続の採用が見送られてきた。

限定相続についての法律規制と税務を正しく理解し、その選択を誤ることがなければ、この制度が多種多様な相続事案に活用できる優れた制度であることがわかる。

「わが三国志 景星輝かず」の販売を開始しました。

  • 更新日:
わが三国志 景星輝かず

市野倉三郎 著
ISBN978-4-902182-13-2
A5判2段組520頁 
発行 オブアワーズ
定価 2520円(本体2400円+税)

三国時代は孔明の死で終わったわけではない

 幼い頃から私は中国の物語りに魅せられ、とりわけ三国志演義は水滸伝、西遊記と共にくり返し読みふけりましたが、そのうちに演義の内容にどうも納得がいかなくなりました。余りにも蜀の人物を持ち上げ、魏、呉の人物をおとしめていますし、かなり荒唐無稽な話も目に付きます。やがて陳寿の正史を読むに及んで人物像にかなりの隔たりがあり、三国時代は孔明の死で終わったわけではない事も知りました。

 そこで自分なりの解釈を試み、実像に迫りたいと思い立ち、いくつかの作品を同人誌「浮標」に載せ、かなりの量になった所で改めて手を加え、一冊にまとめたものが本書であります。

(あとがき から)


「限定相続」は五右衛門さんの造語です

そもそも、「限定相続」という用語は、法律では使われていません。五右衛門さんが、7年前に「限定相続の実務」を執筆されるときに、法律で定めるところの「限定承認をして相続すること」を、ひと言で「限定相続」と表現したのが切っ掛けです。いわば、五右衛門さんの造語なのです。

一方、相続に際して、限定承認を使っての方法を解説した実務書は、「限定相続の実務」しか発行されていませんでした。このため、多くのみなさんに、ご購読、ご利用いただきました。そして、最近では、限定承認して相続することを、「限定相続」と言われるようになってきました。

ちょっとした豆知識のご紹介でした。

このページの上部へ

サイト内検索

最近のピクチャ

Powered by Movable Type 5.12