相続選択行為等についての取消、錯誤無効など

最高裁昭和40年 5月27日第一小法廷判決

 相続放棄は家庭裁判所がその申述を受理することによりその効力を生ずるものであるが、その性質は私法上の財産法上の法律行為であるから、これにつき民法95条の規定の適用があることは当然であり(昭和二七年(オ)七四三号・同三〇年九月三〇日第二小法廷判決・裁判集民事一九号七三一頁参照)、従つて、これに反する見解を主張する論旨は理由がなく、また、原審確定の事実関係に照らせば、被上告人早河としをを除くその余の被上告人らの本件相続放棄に関する錯誤は単なる縁由に関するものにすぎなかつた旨の原審の判断は、是認するに足りる。論旨は採用できない。


【解説】

相続の承認は単純承認と限定承認を含むものであり、相続態様の選択行為である単純承認、限定承認及び相続放棄は、いずれも、その意思表示は取消権等の対象となり得ることを注意的に規定しているのである。

上記最高裁昭和40年 5月27日第一小法廷判決が判示しているとおり、相続放棄や限定相続の申述という法律行為は、民法が定める意思表示の瑕疵に関する諸規定の適用を当然受けるものであり、これらの諸規定に従い、相続放棄や限定相続の申述行為の取消や錯誤無効の主張等も可能ということとなる。

従って、仮に法定単純承認事由に該当する行為その他の相続態様選択に関連する行為がが存在していたとしても、その行為について、錯誤無効や取消の主張ができる事例か否かを判断しないと、最終的な、相続態様選択についての結論を出すことはできないということとなる。


詳しくは「改訂限定相続の実務」で。



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