2011年2月の記事一覧

「お泊まりデイサービス」は、24時間地域巡回型の訪問サービスと併せて介護保険の適用が検討されており、平成24年度から介護保険内で扱うことが検討されていましたが、実施は難しくなりました。

現在の「お泊りデイサービス」とは、通常の"デイサービス(通所介護)"に、宿泊機能をつけたものです。デイサービス自体は介護保険の対象ですが、お泊りしている時間帯は介護保険制度のサービスではありません。自費サービスとなるため、宿泊価格の設定も自由にできるようになっています。このようなサービスがここ数年で全国的に増えています。

なぜ、そういったサービスが増えているのか、考えられる理由として、?ショートステイの空きが少ない、?なじみのない場所では混乱する認知症の方が利用しやすい、などが挙げられます。また、特養やショートステイを使うよりも、小規模の通所介護事業所の1日の単価の方が高いという実態もあります。さらに、デイサービスに宿泊することで、自宅へ送迎することもなく、事業所としても職員の業務が軽減されることになります。こういったことから、特養の入所待ちにお泊りデイサービスを連泊で利用するという介護保険制度の趣旨と違った使い方がされているのも実情です。

デイサービスに宿泊の機能を持たせることは、小規模多機能型居宅介護とのすみ分けにおいて、訪問サービス部分がない以外は同じ機能を持つようになります。お泊りデイサービスを介護保険で適用することは、小規模多機能型居宅介護と非常に類似性の高い事業モデルであり、利用者のすみ分けが難しくなるのではないかと考えられています。

小規模多機能型居宅介護と現在のお泊りデイサービスで大きく違う点としては、お泊りデイサービスでは、一つの部屋に多人数で宿泊したり、職員体制も十分ではないなど、宿泊する高齢者の方々にとっては好ましくない環境で過ごさなければならないということが挙げられます。

以下は小規模多機能型居宅介護とお泊りデイサービスの比較となります。

内容
小規模多機能型居宅介護
お泊りデイサービス(通所介護)
特徴
登録した利用者は通い・宿泊・訪問サ?ビスの複合サ?ビスを提供することができる。 介護保険外なので誰でも自由に利用できる。
メリット
通所介護に比べ、訪問、宿泊に対応でき複合的なサ?ビスを提供が可能。 空きがあればいつでも利用が可能。
デメリット
介護報酬が定額制であり、利用限度額がないので、ケアプランの作り方、サ?ビス提供の仕方によ り経費が左右されることもある。 指定基準が無いため、事故があった場合に対処できない 可能性がある。
定員
登録定員 25人以下 制限無し。
人員
人員配置基準あり。 宿泊サービスでは基準なし。
設備
設備基準あり 宿泊サービスでは基準なし。
報酬
月単位の包括報酬額 自由に料金設定が可能。




1.お泊りデイサービスが求められている理由

  1. 介護保険外のサービスであるから規制がなく、宿泊の費用が安い。
  2. ショートステイは利用希望が多く2か月前に予約しないと使えないなど、家族の病気や親類の葬儀など緊急時に家族の休息に使われるショートステイのサービスは緊急利用が難しいため。また、ショートステイなどの日頃使い慣れない施設では状態が悪化することもあるため、使い慣れたデイサービスを利用したい。
  3. 認知症の人が泊まりも通いもできるよう作られた「小規模多機能型居宅介護」は開設要件が厳しく、数が増えないため利用できる事業所が無い。



2.現在のお泊りデイサービスの問題点

  1. 男女を同じ部屋で宿泊させたり、宿泊専用の部屋がなく、食堂や機能訓練室に簡易ベッドや布団を敷いて寝泊まりさせたりするケースがあるなど、環境整備がされていない。
  2. 介護保険制度外のために人員配置基準が無い。
  3. 宿泊する利用者の平均要介護度は要介護度が高い傾向があり、夜間のスタッフが緊急時に対応しきれない危険がある。
  4. 通所(日帰り)を原則とする福祉施設のお泊まりデイサービスが、入所型施設に入れない高齢者の受け皿となっている。


これらのニーズと問題点を解決するために「お泊りデイサービス」を介護保険内で対応するかどうか議論されています。
「お泊りデイサービス」の名称で示された案は、既存のデイサービスの利用時間を現状の10時?17時から10時間以上延長し、"通い"でも"泊まり"でも利用できる24時間体制とするものです。利用者は顔なじみのスタッフがいる通い慣れた設備で宿泊することができ、急な残業や通勤などでデイサービスの送迎時間に間に合わない家族の負担を軽減し、レスパイトケアの充実を図ります。従来のショートステイもこれまで通り利用可能ですが、緊急時に空きベッドを確保することは困難なため、デイサービスを利用して 急な預かりニーズに対応することを目的としています。



3.在宅・地域密着型サービスのあり方をテーマに社会保障審議会介護保険部会で議論されている具体的な意見

  • 「特別養護老人ホームの待機者がデイサービスで1カ月宿泊しているケースもある」
  • 「同案は小規模多機能型居宅介護事業所の"訪問"がないだけで"通い"と"泊まり"は共通だ。介護報酬的にも定額制の小規模多機能型との整合性はとれるのか」
  • 「ショートステイは半年前から予約を受け付けているが、それでも満員で利用者の預け入れにケアマネジャーは苦慮している」
  • 「男女を同じ部屋で宿泊させていたケースがある」
  • 「泊まりが必要ならショートステイ(短期入所)で対応すべきだ」
  • 「家族の病気や休息のためのサービスが必要」
  • 「介護負担が減れば施設入所の要望も緩和される」

このように、現在は平成24年度介護保険制度改正に向けて議論されている段階であり、今後の動向につきましては、情報が入り次第また取り上げていきたいと思います。

平成24年に予定されている介護保険制度の見直しについて 厚生労働省が改正事項を中心にした意見をとりまとめた社会保障審議会介護保険部会の報告書「介護保険制度の見直しに関する意見」から24時間地域巡回型訪問サービスについて取り上げます。


地域包括ケアシステムの仕組みを支える基礎的なサービスとして位置付けられているのが、24時間地域巡回型訪問サービスになります。

24時間地域巡回型訪問サービスとは、在宅生活の限界点を上げることを目的として、適切なアセスメントとマネジメントに基づいて、時間帯を問わず、利用者に「必要なタイミング」で「必要な量と内容」の介護・看護サービスを提供するものです。

※夜間訪問介護との違い
現行の夜間訪問介護は、夜間のみのサービス提供を想定しているが、24時間地域巡回型訪問サービスは利用者の24時間にわたる在宅生活を支えるための体制を有する拠点


1.24時間地域巡回型訪問サービスの基本コンセプト
?継続的なアセスメントを前提としたサービス
?24時間の対応
?短時間ケアの提供
?『随時の対応』を加えた『安心』サービス
?介護サービスを看護サービスの一体的提供

⇒在宅の利用者の24時間365日の安心感の提供

2.24時間地域巡回型訪問サービスの最終的な目標
単身・重度の要介護者であっても、在宅を中心とする住み慣れた地域で「尊厳と個別性」が尊重された生活を継続することができるような社会環境の整備



3.24時間地域巡回型訪問サービスのメリット

(1)短時間ケア
訪問介護では、体位変換やおむつ交換、水分補給等、1日に複数回のサービス提供が必要なケアで、『20分ルール』等により、短時間のケアに十分対応できない現状があるが、24時間地域巡回型訪問サービスによって、短時間での巡回訪問が可能となる。

(2)介護サービスを看護サービスの一体的提供
24時間地域巡回型訪問サービスでは、事業所に介護職員と看護職員が配置され、事業所における介護・看護の協働体制が確立する。これにより、24時間体制で迅速かつ柔軟な対応が行えるようになる。


4.現在介護保険制度の見直しで行われている議論の具体的内容

(1)サービスの対象者
  • 在宅生活の限界点を引き上げるという観点から、主に要介護3以上の要介護者の在宅生活を維持することを前提とした制度とすべきではないか。
  • 一方、軽度者であっても1日複数回のケアが必要な場合があり得るため、サービスの対象者は要介護者全般としてはどうか。


(2)訪問サービスのマネジメント
  • 利用者のニーズに柔軟に対応するため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所が、サービス提供のタイミングや回数等を決定する訪問サービスマネジメントを行う必要があるのではないか。
  • また、24時間地域巡回型訪問サービス事業所とケアマネジャーは「共同マネジメント」の形で緊密な連携を図り、利用者のニーズに即したプランを作成すべきではないか。


(3)介護と看護の一体的提供
  • 利用者の体調の変化に即応してサービス提供をするため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所に介護職員と看護職員を配置する、又は外部事業所との緊密な連携を図る等の方法により、介護サービスと看護サービスを一体的に提供できる体制を検討すべきではないか。

(4)随時対応のための体制
  • 利用者からのコールに対し随時の対応を行う職員(オペレーター)は、利用者の状態を把握し、電話等での対応を通し適切に解決を図ることが重要である。
  • オペレーターは、看護や介護に関する基礎知識と経験を有する者が担当しつつ、看護職員が不在時でも、看護の専門知識を有する職員からの助言が常に得られるような体制を確保すべきではないか。


(5)職員の配置のあり方
  • 人材の安定的確保及び有効活用の観点から、24時間地域巡回型訪問サービス事業所の職員が、他の介護サービスとの兼務等について柔軟に対応できる仕組みが必要ではないか。
  • 特に、夜間においては、サービス提供の頻度も低下するため、他の24時間対応の介護サービス事業所または施設等との兼務も検討するべきではないか。


(6)サービス提供圏域
  • 利用者ニーズへの対応・効率的事業運営の観点から、30分以内で駆けつけられる範囲が適切ではないか。
  • サービス提供の効率化の観点から、一定規模の地域を単一の事業所が担当するエリア担当方式や地域内の他事業所への部分的な委託も含めた柔軟な提供体制の構築を検討すべきではないか。


(7)報酬体系
  • 本サービスは、これまでの訪問介護と異なる全く新しいサービスとして位置付けられるべきものであり、また、日々変化する心身の状態にあわせてサービスの提供量が変化することから、現行の時間単位制に基づく出来高方式ではなく、一定の範囲内で包括定額方式を採用してはどうか。その際、包括化するサービス範囲について検討するとともに、他のサービスとのバランスも考慮する必要があるのではないか。


このように、現在は平成24年度介護保険制度改正に向けて議論されている段階であり、詳細が決まり次第また取り上げていきたいと思います。

このページの上部へ

介舟ファミリー

「介舟ファミリー」は、サービス専門分野のノウハウと経験を生かし、日々お客様の声を反映したシステム構築に努めて早10年が過ぎ、現在に至っております。 また、その使いやすさから、導入されているお客様も約3000事業所となり、全国の多くのお客様にご利用いただいております。

介護事業者向けソフト 介舟ファミリー

販売取次店

有限会社オブアワーズ
〒921-8815 石川県野々市市本町4-9-38
TEL 050-5532-6587, FAX 03-4520-9614

全国どちらからのお問合せにも対応致します。

サイト内検索