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24時間地域巡回型訪問サービスについての続報

 24時間地域巡回型訪問サービスについて、前回の続報を取り上げたいと思います。厚生労働省は2月25日、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスについて、「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」の報告書を公表しました。
  報告書では、24時間地域巡回型訪問サービスの基本的な考え方として、対象者は要介護3以上の要介護者の在宅生活の限界点を引き上げることを本サービスの前提とした要介護者全般となっています。徘徊や妄想・攻撃的行動・不潔行為・異食などの「問題行動」や「周辺症状」のある認知症の要介護者や軽度の要支援の利用者は対象外となります。

本サービスの基本的なコンセプトとして、以下が示されました。

  • 一日複数回の定期訪問と継続的アセスメントを前提としたサービス
  • 短時間ケアなど、時間に制約されない柔軟なサービス提供
  • 24時間対応/随時対応
  • 介護/看護サービスの一体的提供

1.ケアプランについて
  ケアマネジャーについては、24時間地域巡回型訪問サービス事業所と「共同マネジメント」の形で緊密に連携を図り、他のサービス提供事業者との情報共有を進めつつ、利用者のニーズに即したケアプランを作成します。マネジメントのあり方では、実際に訪問を行っている介護職員や看護職員のチームが行う継続的アセスメントに基づき、1日のサービス提供のタイミングなどを決定します。

2.主な利用者毎のケアのあり方(想定されている利用像)

タイプ
タイプの特徴

24時間地域巡回型訪問サービスでの対応における示唆、適用可能性など
I
食事摂取自立で、配膳・下膳のみ対応
排泄は自立。
定期の介助で大半は対応可能。
食事の配膳などは、配食サービスでも対応可能。
II
食事摂取自立で、配膳・下膳のみの対応
排泄介助はあるが、多くはトイレ介助。配下膳など短時間での複数回対応が必要。
トイレ排泄を行うため、タイミングや方法については十分なアセスメントが必要(多くがトイレ移動介助)。定時以外の排泄介助ニーズにいかに対応するかが課題。
III
食事摂取には、常時付き添いが必要な介助状態。排泄はトイレ、ポータブルトイレ、オムツの併用もみられる。 食事介助に長時間を要するため、特に人的コストの面で対応方法を要検討。排泄介助については上記と同様。
IV
食事は経口摂取、排泄はオムツの定時交換。最重度ではあるが、ケアのタイミングは定型化されており、随時対応も少ない 深夜の体位変換のニーズが多い。排泄は定時交換のため対応可能。食事介助については上記と同様。
V
経管栄養を使用。食事摂取の時間は短いものの、看護職員によるケアが必要。合わせて、痰吸引が必要な利用者も含まれる。 主に看護サービスによりケアを提供。タイミングや方法について十分な事前のアセスメントが必要。
VI
認知症の周辺症状等、常時付き添いや見守りが必要な介助状態。随時対応も多く、施設では対象者に付き添いや見守りが終日続くタイプ。※上記以外の認知症高齢者については、Vのタイプに内包される。 認知症の周辺症状が強く出ている状態での利用は困難。(BPSDが目立つ状況)適切な医学的管理により症状を改善し、状態が落ち着けば対応可能。

 

必要となる個別のケア内容は以下の通りです。

(1)食事摂取
(2)水分補給
(3)排泄
(4)体位変換
(5)医療・看護ケア
(6)認知症ケア
(7)生活援助サービスも必要に応じて提供される

 報告書では、要介護3?5までの重度者が利用した場合の例として、ヘルパーらが食事や掃除などで朝から夜までに5回以上訪問、体調が悪い時には水分補給の追加の訪問サービスもあるとされています。

3.報酬体系について
  報酬体系のあり方では、高齢者の心身の状態変化に伴い、必要なサービスの量やタイミングも変化することから、施設と同様、包括定額払い方式の介護報酬が基本となります。包括定額払いを導入する際、「事業者によるサービス提供控え」が生じる可能性がありますが、これについては、保険者の責任において利用者の在宅生活が包括的かつ継続的に支えられているかを把握する必要があるとされています。また、事業所の指定については、「市町村が一定の裁量のもと、利用者の事業者選択の自由の確保の視点を踏まえながら、計画的に行うことが重要」と指摘されており、地域密着型サービスと同様の公募による市町村の事業者選定が考えられます。

4.人員について 
  人員確保については、モーニングケア、食事、ナイトケアなど特定の時間帯にサービスが集中する場合、常勤職員以外に短時間勤務職員も含めたシフト対応をし、夜間(深夜)は24時間対応を行っている他事業所、施設との兼務も可能となっています。
特に、(1)6:00 - 8:00 (2)8:00 - 10:00 (3)16:00 - 8:00 (4)18:00 - 0:00の時間帯で人員配置の調整が困難との報告がでています。
  介護サービスと看護サービスの一体的提供のため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所には、介護職員と看護職員を配置し、看護職員は「利用者に対する定期的なモニタリング・アセスメント」「訪問看護指示書に基づくサービス提供」「体調急変時の判断や医師との連携」「介護職員に対する療養上の助言」を行います。事業所で看護職員を配置することが困難な場合、外部の事業所との緊密な連携により、こうした機能を確保することも認められています。事業者については、夜間の転倒など緊急時にも対応できるよう約30分で訪問できる態勢を整え、看護師を雇えない場合は、別の事業所の協力を得て介護・看護サービスを提供するよう促しています。
 
  試算では、人口約10万人の圏域に5つの事業所があると想定し、一事業所頻回利用者の平均数を45人とした場合、対する職員数は介護職員が22.8人、看護職員が1.71人、 面接相談員が1.0人、オペレーターが1.0人(いずれも常勤換算)必要とされています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を手掛ける事業所において、介護職員や看護職員が随時対応のオペレーターなども兼務できることにもなっています。特にサービスへの需要が低下する夜間には、職員が複数の24時間対応サービス事業所の業務を兼務できるよう検討すべきとも提言されました。随時対応のオペレーターについては、介護や看護について、一定の知見と実務経験がある人材を配置することが望ましいとされています。

 

5.その他
  その他では、平成18年に新設された地域密着型サービスで、夜間対応型訪問介護というサービスがありますが、ケアコール端末が未使用で補助金の無駄使いと指摘されるほど需要が無かったようです。このことからも、24時間対応巡回型訪問サービスにおいても、深夜帯でのニーズはそれほど見込まれないと考えられます。
  また、厚労省の調査によれば、2009年12月時点の特養の入所希望者は42万人。10年後には、さらに多くの特養の入所待ちが想定されます。そういった施設への入所待ちの待機者が、利用見込み対象者となっていくと考えられます。
 
  今後の動きとしては、介護保険制度改正に向けて、2011年度予算(案)12億円を計上され、全国60市区町村でモデル事業を展開し、望まれるサービス提供が可能かどうかを試算する予定となっています。また、訪問介護大手が相次ぎ24時間対応サービスを本格化する予定となっています。例えば、ジャパンケアサービスグループは2014年までに30億円をかけ全国75カ所に24時間対応の拠点を設ける予定です。また、やさしい手(東京・目黒)は直営に加え、地元企業とフランチャイズ契約を結び、40カ所に開設する予定です。すでに夜間訪問介護に対応できるサービス拠点がありますが、これを24時間訪問介護に対応できる拠点に衣替えし、新たに拠点を設置する見込みです。どちらも政府が12年度の介護保険制度改革で24時間対応の訪問介護サービスを導入するのを睨んだ計画であると考えられます。

このように、平成24年度介護保険制度改正に向けて、色々な情報が出始めております。
今後も詳細が集まり次第、また取り上げていきたいと思います。

 

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