米最高裁、P2P企業の法的責任認める逆転判決 ユーザーによる著作権侵害の責任がP2P企業にあるか否かを争点としていた訴訟で、米最高裁は責任を認める逆転判決を下した。
米連邦最高裁は6月27日、「P2P技術のデベロッパーにはユーザーの違法行為に対する法的責任がある」との判断を下した。裁判官の全員一致で下されたこの歴史的判決は、ファイル交換ネットワークを通じた著作物泥棒の横行を阻止したい映画・音楽会社にとって大きな勝利となる。
デビッド・ソウター裁判官は多数意見の中で次のように記している。「著作権侵害を仕向ける明確な表現あるいはそのほかの積極的措置に示されている通り、著作権侵害のための利用を助長する目的のデバイスを配布している者は、その結果である侵害行為の責任を問われる」
今回の判決では、オンラインのファイル交換を通じて著作権侵害を助長している技術の提供企業は、その侵害行為の誘発に加担した責任を問うことができるという判断を示した。
この訴訟では、ユーザーがアーティストやパブリッシャーに対価を支払うことなく著作物を交換できるP2P技術の提供企業に法的責任があるかどうかが争点となっていた。映画業界側は、P2P企業がユーザーによる著作権泥棒をそそのかしていると主張していた。
米連邦地裁と第9巡回区連邦控訴裁ではこの訴えを退け、ソニー・ベータマックス訴訟で20年前に確立された法的原則は、ファイル交換ネットワークにも当てはまるとの判断を示していた。
音楽業界はこの判断を不服として最高裁に上告。エンターテインメント業界は最高裁に提出した書面で次のように主張していた。「(P2P)技術は合法的なデジタルファイル交換に利用することも可能だが、GroksterとStreamCastはそのような使い方はしておらず、同技術を不正利用した事業を運営している。両社のサービス上の90%は著作権侵害に当たり、このような侵害が毎日何百万件も発生している」
これに対してP2Pネットワーク側は、音楽業界が技術の利用について口出しすべきでないと反論していた。
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0506/28/news005.html)
二 上記米国連邦最高裁判決の論理の詳細は不明であるが、報道されているように。「著作権侵害を仕向ける明確な表現あるいはそのほかの積極的措置に示されている通り、著作権侵害のための利用を助長する目的のデバイスを配布している者は、その結果である侵害行為の責任を問われる」との表現からすれば、教唆的幇助意思の理論で言及した「+アルファ」行為を直視して、その犯罪構成要件該当性を判断しているようにも読める。