IT技術者のためのデジタル犯罪論  弁護士 五右衛門(大阪弁護士会所属 服部廣志)

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不正アクセス行為とコンピューターセキュリテイ

五 不正アクセス行為とセキュリテイ

1 不正アクセス行為とコンピューターセキュリテイ

 上記のとおり、ACCS事件に関連して述べた「不正アクセス行為の判断基準」からすれば、不正アクセス禁止法の不正アクセス行為とコンピューターのセキュリテイの問題は、重なる部分も認められるものの、異次元の問題であることが理解できる。

 不正アクセス行為は、コンピューター管理者がID及びパスワードなどにより秘匿しようとした、いわば客観的な(客観的に、制御と評価され得る方法による)「利用制御」の、客観的な「制御回避の問題」であり、コンピューターセキュリテイは、主観的な「情報保護」の問題であるとも言える。

不正アクセス       利用制御--制御回避の問題
↓ ↑
セキュリティ       情報保護の問題


図1

 コンピューターセキュリテイ(情報保護の問題)の問題は、不正アクセス禁止法のみによっては達せられないものであること、この当然とも言えることを再認識する必要がある。

 コンピューターセキュリテイの問題は、その一部は現在の不正アクセス禁止法により保護されているかもしれない。しかし、刑罰法規である不正アクセス禁止法がカバーできるのは、刑罰法規であることによる制約、制限、限界があることを認識する必要がある。

 刑罰法規に頼るのではなく、不断に自らのセキュリテイの向上を追求する姿勢、意思と意欲がIT技術者に求められている。

 

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