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わたしは、アベノミクスでは日本経済は再生しないと考えている。むしろアベノミクスによって日本は破綻への道を進むことになるのではないかと危惧している。現在まさにその兆候が現れている。

本日(2015.8.20)に DAIAMOND online に掲載された野口悠紀雄 氏(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問)の記事を転載して紹介する。


マイナス成長が明確に示す経済政策の根本的誤り

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第25回】 2015年8月20日

http://diamond.jp/articles/-/77030

GDP成長率はマイナスになった。これは、「デフレ脱却を目標として金融緩和をする」というこれまでの経済政策の行き詰まりを明確に示している。「一時的」として無視するのでなく、経済政策の基本を転換させる必要がある。

要因は消費停滞と輸出落ち込み
日本経済は成長路線に乗っていない

8月17日に発表されたGDP統計によると、2015年4から6月期の実質GDP成長率は、対前期比マイナス0.4%(年率マイナス1.6%)となった(図表1参照)。

これまでも、14年4から6月期、7から9月期に対前期比マイナス成長になっていた。また、14年度は13年度に対してマイナス成長だった。

ところが、14年10から12月期と15年1から3月期が連続してプラス成長となり、しかも15年1から3月期の実質GDP成長率が、対前期比1.1%(年率4.5%)というかなり高い値だったことから、日本経済は成長路線に乗ったという見方が強くなっていた。しかし、そうではなかったわけだ。

日本経済は、依然として停滞の罠から脱出できていないことを、今回のGDP速報値は明確に示している。

15年4から6月期における実質GDPの値は、ほぼ13年4から6月期の水準と同じである。後者は、異次元金融緩和発動の直後だ。つまり、異次元金融緩和は、経済成長促進という観点からすれば、効果はほぼゼロだったことになる。

14年4から6月期、7から9月期のマイナス成長の原因として、一般に指摘されているのは消費税増税である。それは、否定できない。ただし、消費税増税だけが原因であれば、停滞がここまで長く続くことはない。日本経済を長期的に停滞させている原因は、消費税の増税ではない。

今回のマイナス成長をもたらした原因は、消費停滞と輸出の落ち込みである。これらについて、以下に見よう。

消費税の影響がなくなっても
なお停滞する家計消費

まず消費の落ち込みを今回のGDP速報で見ると、つぎのとおりだ(図表2参照)。

民間消費支出は、2014年4から6月期に消費税増税の影響で大きく落ち込んだ後、15年1から3月期までは緩やかに回復していた。

しかし、4から6月期で再び落ち込んだのである。これは、消費税増税以外の要因が消費を圧迫していることを示している。

原油価格低下という強力な効果があるにもかかわらず、消費が落ち込んだのは、驚きである。

消費の落ち込みをもたらしたのは、実質雇用者報酬が4から6月期に落ち込んだことだ(図表3参照)。これは、消費税増税とは異なる要因によるものだ。

この状況を見るために、図表4に雇用者報酬の名目伸び率と実質伸び率を示す。

それまでは名目伸び率と実質伸び率の間に大きな差はなかったのだが、13年10から12月期から、「名目成長率はプラスだが、実質成長率がマイナス」という状態が生じている。これは、円安によって消費者物価が上昇したからだ。なお、14年4から6月期には、消費税増税の影響がこれに加わっている。

14年7から9月期と10から12月期は、名目伸び率と実質伸び率の差がほとんどなくなった。これは、為替レートが安定したことで、消費者物価上昇率が低下したためだ。15年1から3月期には、名目伸び率が0%であるにもかかわらず、実質伸び率が0.6%になっている。これは原油価格低下の影響と考えられる。

ところが、4から6月期にはこの傾向が再び逆転し、名目で0.2%増加したにもかからず、実質ではマイナス0.2%の伸びとなったのである。

今年の春闘では、政府が民間企業の賃金決定過程に介入して賃金引き上げを求めた。そして、賃上げ率が顕著に引き上げられたと喧伝された。それにもかかわらず実質雇用者報酬の実質伸び率がマイナスになったことに注意しなければならない。健全な経済成長のために必要なのは、政府が民間経済活動に介入して企業の決定を歪めることではなく、物価を安定させることなのである。

実質賃金の減少が消費低迷の原因
インフレ目標が誤りであることを示す

家計調査報告によっても、消費の低迷が裏付けられる。

図表5に示すように、実質季節調整済み1人当たり消費支出は、消費税増税後10万円を下回る状態が続いている。この水準は、2000年頃と同じである。

15年4から6月期は、対前期比でも対前年比でもマイナスの伸びだ。こうなる原因も、勤労者世帯実収入が減少していることだ。

以上の状況を見ると、実質賃金が増加しないことが、消費低迷の原因であることが分かる。消費停滞は、「インフレ目標」という経済政策の目的が誤りであることを示しているのである。

政府は、今回のマイナスは一時的なものだとして無視する方針だ。追加緩和や消費税増税延期の声が出てくることに対するけん制であろう。しかし、重要なことは、「インフレ率を高める」というこれまでの経済政策が誤りであったことを認め、政策の大転換を図ることである。

円安の進行にもかかわらず
輸出数量が伸びない

輸出数量指数の推移を見ると、図表6のとおりである。輸出の落ち込みは、世界経済の停滞の反映だ。ただし、日本の対中輸出は、対世界より落ち込みが大きい。より詳しく見ると、つぎのとおりだ。

対世界では、2010年の100から2014年の90.7に落ち込んでいる。すなわち、円安が進行したにもかかわらず、輸出数量は伸びていない。これは、世界経済が停滞していることとともに、円安は輸出数量を増やす効果がないことを示している。

対中国の輸出数量は、2012年頃から急激に落ち込んだ。この原因としてしばしば言われるのは、尖閣列島問題に起因する日中関係の悪化だ。しかし、それより大きいのは、10年頃の対中輸出の増加が中国の景気刺激策による一時的なものであり、それが平常レベルに戻ったことだと考えることができる。また、それまで日本から中国に輸出されていた部品などが東南アジアなどにシフトしたことの影響もあるだろう。

最近の状況を見ると、とくに15年5月に落ち込みが大きかった。これが今回のGDP統計に影響している。

最近の状況を見ると、15年6月には若干回復した。しかし、最近時点での中国経済の混乱や人民元レートの見直しなどを考えると、今後順調に回復していく可能性は薄い。

こうした状況を考えると、今後とも日本の輸出数量が伸びることは期待薄だ。円安が進んでも、企業利益を増やすだけの結果に終わるだろう。

企業利益は増えたが生産は増えない
設備投資の国内回帰は生じてはいるが...

鉱工業生産指数の動きも、図表7に示すとおり、はかばかしくない。

安倍晋三内閣成立以降の推移を見ると、2013年12月までは上昇が続いた。しかし、消費税増税の直前である98.1をピークとして下落に転じ、14年8月の96.7まで低下した。その後は、15年1月に100を超えたことを除くと、停滞が続いている。

もう少し長い期間について大まかに言えば、消費税増税前の駆け込み需要の影響で一時的に上昇したものの、13年9月頃からの状態が続いていると見ることができるのである。

そして、この状態は、10年頃の水準に比べると低い。つまり、日本経済は長期的な停滞に落ち込んでいると見ることができる。

設備投資の国内回帰が生じているのは事実だ。しかし、鉱工業生産指数における上記のような状況を考えても、これが将来の需要増を見込んだ積極的な投資であるとは考えられない。一つは、更新投資であろうし、いま一つは、円安によって国内生産の優位性が回復したために、これまで海外に向かっていた設備投資の一部が国内回帰しているのであろう(なお、GDP速報では、1から3月期には対前期比年率11.7%の増加となったものの、4から6月には、マイナス0.3%とマイナス成長になっている)。

円安を原因とした製造業の国内回帰現象は、リーマンショック前の円安期にも見られた。しかし、とくにエレクトロニクス産業では、「水平分業化」という世界的な潮流を無視して建設された国内の巨大工場が、その後の赤字の原因になった。

今回の設備投資国内回帰についても、同じことが言えるだろう。これは、長期的に見れば、日本経済の構造転換を遅らせることになる。

なお、労働需給の引き締まりが経済の好調の反映だとする意見が強い。しかし有効求人倍率の上昇などの雇用指数は、労働供給の減少による面が強いことに注意が必要である。

金融緩和と円安に依存する
経済政策を根本から見直すべきだ

8月14日の閣議に提出された2015年度の経済財政白書は、副題を「四半世紀ぶりの成果と再生する日本経済」とした。

第1章のタイトルは「景気動向と好循環の進展」だ。ここで、「企業の収益改善が雇用の増加や賃金上昇につながり、それが消費や投資の増加に結び付く『経済の好循環』が着実に回り始めている」と述べている。

その論拠として、(1)名目総雇用者所得が2013年3月以降、前年比でプラスが続いていること、(2)15年4月以降、実質総雇用者所得が前年比プラスとなっていることを挙げている。

しかし、(1)について見ると、GDP統計における名目雇用者報酬の対前年比がプラスなのは、10年4から6月期から12年7から9月期においても見られることである。13年1から3月期だけがマイナスになったのだ。

また、(2)について見ると、GDP統計における実質雇用者報酬の対前年同期比は、10年1から3月期から13年4から6月期まで、プラスである(13年1から12月期にもプラスだ)。これがマイナスになったのは、13年7から9月期と14年1から3月期以降のことである。この中には消費税増税前の期間も含まれていることに注意が必要だ。つまり、実質賃金の対前年比マイナスという現象は、安倍内閣になってから生じている現象なのである。そして、先に見たように、対前期比では、実質雇用者報酬伸び率は15年4から6月期においてマイナスになっている。

これらを考えれば、「企業の収益改善が......賃金上昇につながり、それが消費の増加に結び付く『経済の好循環』が着実に回り始めている」という白書の主張は、「詭弁だ」としか言いようがない。ましてや、マイナス成長に陥っている現在の日本経済の状態をなぜ「四半世紀ぶりの成果」と言えるのか、理解に苦しむ。

本来、経済財政白書には、内閣の方針に左右されない客観的で冷静な分析が求められる。近年の白書は、そうした本来の責務を放擲し、内閣の方針の正当化を最優先の目的にしている印象を与える。


金森

国会前抗議でのSEALDs山本雅昭さんのスピーチを紹介する。

【スピーチ全文掲載】「戦争に行きたくないと言うのは間違っていない。おかしいことにおかしいと言うのは間違っていない。ここにいるあなたは間違っていない」――SEALDs山本雅昭さん 国会前抗議で

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/257164
IWJ Independent Web Journal

 「わけあってアメリカから来ました。ここの抗議のことが気になっていて、足を運びたいと思っていた。そうしたらこういう機会をいただいたのでいろいろ喋らせてもらいます。

 日本に住んでいるみんなに言いたいことがあって来ました。このSEALDsという団体はいま参議院の国会で通そうとしている安全保障関連法案に反対しています。僕もこのSEALDsのメンバーのひとりです。

 アメリカからインターネット上でSEALDsに対する日本人のまわりの反応をよく見ます。戦争って大げさでしょう、さわぎすぎ、冷静になれ、アメリカを友だちを見捨てるのか、こいつら選挙に行ったことあんのか、国民が選んだんだろ、お前が政治家になって日本を変えろよ...、ちょっと言わせてください。なぜみんなが戦争戦争と叫んでいるのか。

 日本に帰国して国会中継を見てました。そこで民主党の議員さんがこう説明していました。この法律が通れば、例えばアメリカのイージス艦が日本の目の前で他国から攻撃をされているとします。これを日本の存立や国民の生命が危うくなると判断された場合、日本はその他国に攻撃してもいいということになる。こちらが攻撃すれば相手国からすると先制攻撃とみなされます。なぜなら彼らは日本に攻撃していないからです。そして当然相手国はそれに対して報復攻撃を日本にしていきます。この状態をなんていいますか。戦争ですよね。そんな可能性を持っている法律を私たちが、ああそうですかと通させるわけがないんですよ。

 一方で、じゃあそれに対して友だちを見捨てるのかと言うが、その友だちに僕らは沖縄を筆頭に、多くの都市と住民を犠牲にして基地を提供しているんですよ。それにアメリカは世界で一番の軍事国家、僕らの助けなんか必要ないんです。必要のない助けをして自衛隊が私たちが犠牲になる、こんな馬鹿なこと僕は許さない。

 『日本の安全保障のために多少の犠牲やリスクはやむを得ない』っていう日本語のおかしさがわかりますか?
(本来)国がすることは、誰一人も死なせないし誰一人も人を殺させないことでしょう。それが国のさせることでしょう。誰一人として犠牲になっちゃいけないんですよ。国を守るんじゃなくて国民を守るんですよ。

 安倍さんは去年の選挙で自身の政権を勝ち取りました。だから彼らがすることは許されると、そういうふうに言う人たちがいます。その考え方は、独裁者を多数決で決めるのが国家のあり方、という考え方です。私たちはそんな国じゃありません。私たちには独裁者はいらない。なぜなら私たち一人ひとりが自分で思考して判断し、行動する能力と権利を持っているからです。だから今みんなここにいるんでしょう。

 それとこういうことを言われる。『お前が政治家になって日本を変えろよ』。『デモをしているから、政治的な発言』という日本語は僕はおかしいと思っています。考えてみてください。僕は料理ができます、でもだからといってシェフにはなりません。料理ができないからって毎日外食するのは僕には無理です。だから僕はご飯炊くし、味噌汁くらいは作りますよ。僕はそれを楽しみます、生活をする上で必要なことだから。政治だってそうだと思うんです。僕らの生活に必要なことなんですよ。

 何でかって、家族や友人の、恋人の、自分の将来の子どもたちの命や生活が心配だから、より良いものにしていきたいから、今の当たり前の日常を大事にしたいから、だから私たちはおかしいことはおかしいと言うんです。これがわがままでしょうか。利己的個人主義でしょうか。馬鹿でしょうか。

 はっきりいって僕は日本語が下手だしみなさんみたいにかっこいいスピーチはできません。このあとツイッター、フェイスブックで批判・中傷されるかもしれない、揚げ足を取られるかもしれない。彼らは本当にいつも容赦ないです。正直言うとそれにいつもへこたれます。辛いです。でもね、それに負けてたまるかってことなんですよ。

 (タレント・クリエイターの)いとうせいこうさんが言ってました。国民が国家の未来に関わる機会は選挙のみだけではありません。平和的なデモや座り込みもまた、我々の基本的人権によって守られているのであります。

 ここで僕は声を上げるのをやめるわけにはいかない。次の世代に僕みたいな辛い経験をさせるわけにはいかない。国を思うこと、心配することは間違っていない。ここに立ってスピーチすることは間違っていない。戦争に行きたくないと言うのは間違っていない。民主主義を追い求めることは間違っていない。理想を掲げることは間違っていない。おかしいことにおかしいということは間違っていない。ここにいるあなたは間違っていない。

 私たちは誰の奴隷でもない。思考し続けていきましょう、行動していきましょう。フェイスブックの記事をシェアしていきましょう。自分の言葉にしましょう。

 最後に安倍さんに一言。私たちはこういう思いでここに立っています。あなたには真摯に向き合う義務と責任がある。いいですか安倍さん、逃げずにここに来い。2015年8月7日、私、山本雅昭は戦争法案に反対します」


金森

安保法制は国民からの反対の声が日に日に強まっている。しかし、安倍晋三首相はこれら国民からの声に耳を傾けようとはせず、頑なに安保法制成立に邁進している。なにがそうさせているのだろうか。その背景を冷静に分析している記事があった。転載して紹介する。

分かれば分かるほど、安保法制は廃案にすべきだ。加えて、安倍晋三首相は退陣すべきとの思いを強くする。

集団的自衛権、安倍政権はなぜそこまで急ぐのか?

http://www.mag2.com/p/news/24783
MAG2NEWS

支持率が低下しても、何かにとり憑かれたように集団的自衛権にこだわる安倍政権。その理由はなんなのでしょうか。『未来を見る! 「ヤスの備忘録」連動メルマガ』が様々な角度から分析しています。

アメリカの圧力

実は安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急ぐ背景には、アメリカの強い圧力があったからだとの見方が次第に広まりつつある。

たとえば、米国在住のノンフィクション作家で、「ニューズウィーク日本版」のニューヨーク支局長も務めた青木冨美子氏は、8月4日、日本記者クラブで講演し、次のように述べている。

「戦後の米占領時代はGHQが日本のグランドデザインを決めていたが、今でもそのようなことが続いているかもしれない。現在論議されている新安保法制も、現在の事態に至るまでには誰かがグランドデザインしてこんな感じになっていると思う。たとえば集団的自衛権で言うと、(早期の実現へ)「憲法を変えなくてもいい」と、かつてアーミテージ(元米国務副長官)が言っていたことだ。積極的平和主義などという言葉も、(英語の)翻訳のような気がする。駐日米国大使館CIA(米中央情報局)の中に、誰かキレ者がいてやっているのかなと思う。今になって思うともっと早めに気が付いていればよかったと忸怩たる思いはある」

このように述べ、「集団的自衛権」の成立には「ジャパン・ハンドラー」のリチャード・アーミテージやCIAがかかわっている可能性を示唆している。

「第3次ナイ・アーミテージレポート」

一方、これは青木氏の憶測ではなく、ジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージなどのアメリカの「ジャパン・ハンドラー」の実質的な関与があったことが示す文書がすでに公開されている。それは、2012年夏に発表された「米日同盟:アジアに安定を定着させる」というレポートで、通称「第3次ナイ・アーミテージレポート」と呼ばれているものだ。これは、軍産複合体のシンクタンクで、「ジャパン・ハンドラー」の拠点の「戦略国際問題研究所(CSIS)」が、日米同盟の提言としてまとめたものである。

2012年夏といえば、民主党の野田政権の失速が始まっており、政権交代への期待が高まっていた時期だ。現在の安倍政権は、この年の12月の総選挙で自民党が圧勝し成立した。

「集団的自衛権」に関して、このレポートには明確に次のように書かれている。

「日本の集団的防衛の禁止に関する改変は、その矛盾をはっきりと示すことになるだろう。政策の変更は、統一した指揮ではなく、軍事的により積極的な日本を、もしくは平和憲法の改正を求めるべきである。集団的自衛の禁止は同盟の障害である。3.11は、我々2つの軍が必要な時にいかに軍事力を最大限に活用できるかを証明した。平和時、緊張、危機、及び戦争時の防衛範囲を通して完全な協力で対応することを我々の軍に許可することは責任ある権限行動であろう」

このようにこのレポートでは、「集団的自衛の禁止は同盟の障害である」と明確に述べ、憲法改正、ないしは「集団的自衛権」を早急に成立させるように求めている。

自衛隊の活動

では、「集団的自衛権」で海外派遣が可能になった自衛隊はどのような活動を展開することが要請されているのだろうか? これも明確に示されている。以下である。

ホルムズ海峡を閉鎖するというイランの言葉巧みな意思表示に対して、すぐさま日本はその地域に掃海艇を一方的に派遣すべきである。日本は、航行の自由を保証するために、米国と協力して南シナ海の監視も増やすべきである」

ホルムズ海峡の掃海艇の派遣、そして南シナ海における中国の監視活動を米軍とともに実施せよという要求である。

さらに自衛隊には広い活動範囲が求められ、以下のようにある。

「東京はイランの核開発などによってもたらされた、海賊行為に対する戦闘、ペルシャ湾の海運業の保護、シーレーンの確保や地域の平和の脅威への対処といった、多国籍の取り組みに積極的に参加すべきである」

ここでは、「海賊行為にたいする戦闘」とあり、自衛隊の任務がもはや後方支援には限定されない「戦闘行為」も含むことが示唆されている。

政府答弁と基本的に同じ

このようにこのレポートでは、「集団的自衛権」の適用地域として、特に「ホルムズ海峡の掃海艇派遣」と「南シナ海における中国の監視活動」の2つをあげている。これは、「集団的自衛権」の必要性を説明する政府の国会答弁と基本的に同一である。

これは、「集団的自衛権」成立の要請の圧力がアメリカからあり、いま日本政府はこれに基づいてい動いていることを如実に示してはいないだろうか? 「集団的自衛権」への方針変更は日本政府の単独の判断ではない。

それにしてもなぜここまで急ぐのか?

だが、このように「集団的自衛権」がアメリカの圧力の産物だとしても、なぜ安倍政権がこの成立をここまで急ぐのか説明にはならない。たっぷりと時間をかけ、憲法に違反しないように行う方法はいくらでもあったはずである。

たとえば、2004年に成立した「イラク特措法」がある。この法律は期限が決まった時限立法で、戦闘が行われていない地域に、「人道支援活動」を実施する目的で自衛隊を派遣するものであった。

もちろんこのときも議論はあったが、これが違憲であるとする議論はほとんどなく、国民的な反対運動は起こらなかった。「人道支援活動」の一環として戦闘が行われていない地域に自衛隊が派遣されたので、少なくとも建前は、憲法に禁止されている軍隊の海外派兵ではなかったからだ。これも「ジャパン・ハンドラー」などのアメリカからの要請であったことは間違いない。

もし「ホルムズ海峡の掃海艇派遣」と「南シナ海における中国の監視活動」の2つを要請されているのであれば、2003年の「イラク特措法」と同じく、期限が決まった時限立法とし、戦闘行為には一切かかわらないことを条件にした純粋な後方支援活動として、これらの地域に限定して実施する法律を成立すればよかったはずだ。そのような方法であれば、違憲となる「集団的自衛権」を持ち出す必要性はなかったはずだ。

ところが今回は、時限立法ではなく恒久法として「集団的自衛権」を成立し、世界のあらゆる地域に米軍と一緒になって自衛隊を派兵することを可能にしている。これは明白に憲法に違反している。このため多くの国民の怒りを買うことになったのである。

安倍政権はなぜあえてこのようなことを急いで行っているのだろうか? その本当の目的はなんだろうか?

「日本会議」の明確なアジェンダ

時限立法としてではなく、恒久法として憲法にからめて「集団的自衛権」を持ち出した理由は、安倍首相が現行の憲法で「集団的自衛権」を規定の事実にしてしまい、これによって、自衛隊を将来いつでも海外派兵できる「国防軍」にするきっかけにしたいという野心からではないかと見られている。

たしかに、安倍首相の個人的な野心が背景にあることは間違いないだろう。しかしながら、急ぐべき理由はこれだけではないことは、安倍政権の最大の支持母体である「日本会議」の明確なアジェンダを見ればだいたいはっきりする。

「日本会議」がどのような存在なのかは、第338回の記事に詳しく配信したので詳述はしないが、「日本会議」とは戦前をモデルにした憲法に改正し、「天皇制国家」の復権を目指す右翼的な組織が結集した一大プラットフォームのことである。

「日本会議」のサイトやその他の文書から、この組織は安倍政権こそ憲法改正を実現できる最後の機会ととらえていることが分かる。そのため、憲法改正は安倍首相の任期中になんとしてでも達成しなければならない最重要課題である。それには、2016年7月に行われる参議院選挙で自民党が3,000万票を越える得票で圧勝し、すでに自公が絶対安定多数の衆議院と合わせて憲法改正に必要な3分の2の議席を確保する。そして一気に憲法改正を実現するという計画だ。

安倍政権は、「日本会議」のこのアジェンダを念頭において動いていることは間違いない。とするなら、「集団的自衛権」の成立をことのほか急ぐ理由もこの辺にありそうだ。

憲法96条の改正

もちろん、参議院選挙で自民がたとえ圧勝したとしても、憲法改正のハードルは高い。憲法96条では、衆参両院の3分の2の賛成と、国民投票における過半数の賛成を必要とする。現在自民党は衆議院で291議席を獲得しているが、3分の2の317議席には届いていない。公明党の35議席を合わせると326議席となり3分の2に達するが、公明党が反対した場合、憲法改正の発議はできない。

そのため、憲法96条を先に改正して衆参3分の2の賛成が必要とする改革条件を緩和し、過半数の賛成があれば憲法改正を発議できるように変更することを狙っている。

いま参議院では、自民は242議席のうち115議席しか獲得していない。過半数にも届いていない。もし2016年7月の参議院選挙で自民党が圧勝して3分の2の議席数になれば、憲法96条の改正は容易に実行できる。それを実現した後、一気に憲法改正に乗り出すという意図だ。これが「日本会議」のアジェンダに沿った自民党のプランだ。

「集団的自衛権」の既成事実化と「国防軍」

そして、憲法改正をスムーズに進めるための方策として見られているのが「集団的自衛権」の早期の成立である。

もし2016年7月の参議院選挙までに「集団的自衛権」を恒久法として成立できていれば、自衛隊の海外派兵はいつでも可能となる。これは、もっぱら「専主防衛」を基本とする「自衛隊」を、先制攻撃もできる他の国と同じような「国防軍」に実質的にしてしまうことを意味する。つまり「集団的自衛権」の成立は、「国防軍」の既成事実化だと見てよい。

もちろん「集団的自衛権」には、国民の予想以上の反対があり、自民党の支持率は大きく下がっている。このままの情勢では、たとえ安倍政権が来年まで続いたとしても、来年の参議院選挙で過半数の議席を獲得できる可能性はかなり低い。ということは、「日本会議」のアジェンダにある憲法改正は困難だということになる。

他方、自民党の掲げる憲法改正の重要なポイントのひとつになっているのは、「自衛隊」の「国防軍化」である。もし自民党が来年の参議院選挙で負けたとしても、いまの時点で「集団的自衛権」を成立させておけば、これは実質的に達成したことになる。

米軍産複合体の支持と従属国家化の進展

おそらくこれが、安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急いでいる理由であろう。

また、もともと「集団的自衛権」は米軍産複合体の日本に対する要求項目の1つである。ということは、これが成立すると、「日本会議」と安倍政権が目指す憲法改正に米軍産複合体の間接的な支持が得られる可能性が高くなる。

来年の参議院選挙までには憲法改正に乗り出す準備ができていなければならない。いま安倍政権が「集団的自衛権」の成立を急ぐのには、米軍産複合体の横槍が入らないように彼らの支持を固めておくという理由もあることだろう。

いずれにせよ、米軍産複合体の要求と支持におもねることでアメリカの従属国家化の方向は強化される。

このように見ると、「日本会議」と安倍政権が目指す「日本の独立」とは、もはや実質的に独立国とさえ言えない状況にまで対米従属を徹底的に強化しながら、米軍産複合体の保護のもと、「天皇主権」による偉大な日本という幻想に酔いしれる自由を享受したいということではないのだろうか? 少なくとも筆者にはそのように見えてしかたがない。

著者/ヤス
早稲田大学卒。企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等を担当。世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立てる。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をメルマガで配信。


金森

安倍晋三首相には、菅原文太さんの言葉を噛み締めてもらいたい。

君たち国会議員が、守るのは、国家の名誉なのか、それとも、国民一人ひとりのいのちなのか。」

以下に、The Huffington Post の記事「夜回り先生、武藤貴也議員のSEALDs批判に反論」を転載して紹介する。

夜回り先生、武藤貴也議員のSEALDs批判に反論

http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/07/mizutani-osamu-muto-takaya_n_7954302.html(The Huffington Post 2015年08月07日)

(左)水谷修さん=2010年08月23日、シンポジウム「自殺予防のためにできること」で講演。東京・九段会館、(右)武藤貴也氏 2014年11月30日撮影 | 時事通信社

自民党の武藤貴也・衆院議員(36)が安保法案に反対する学生グループSEALDsを「利己的個人主義」などとツイートした問題で、子供たちの非行防止に取り組み「夜回り先生」として知られる元高校教諭の水谷修さんが「完全に武藤衆議院議員が間違っています」と反論した。

水谷さんは8月4日、公式ブログで国会議員らとともに故・菅原文太さんと食事をした時のエピソードを紹介。議員の一人が尖閣諸島に不法侵入した中国船について「法律を改正し、自衛隊を送り、武力を持ってしても、中国船舶を追い返し、国土を守らなくてはいけない。これでは、日本の名誉が損なわれる」と言ったときの、菅原さんの言葉を次のようにつづった。

「君が、行くのかね。もし、そこで、一発でも銃弾が飛べば、戦争が始まる。そして、自衛官の命が失われる。それでもいいのかね。君に聞きたい。君たち国会議員が、守るのは、国家の名誉なのか、それとも、国民一人ひとりのいのちなのか。君は、何もわかっていないようだ。私は、あの戦争を体験している。どんなことがあっても、二度と戦争はしてはいけない。名誉なんてものは、一度失っても取り戻すことは出来る。でも、いのちは一度失われたら二度と取り戻すことが出来ない」
 
自民党武藤衆議院議員の発言について|夜回り先生は、今!(水谷修ブログ)より 2015/08/04)

水谷さんは学生らが声をあげていることについて「この国の明日と世界平和を深く熟慮している」と評価する一方、「国があって国民があるのではなく、国民があって、はじめて国がある。今、この発想が多くの国会議員のあたまの中から消えている」と、国会議員を批判。国会議員は国の名誉より国民の命を守ることが大事だとの考えを主張した。

水谷さんは武藤議員に対しても「ツィッターでこのように無造作に侮蔑のことばを投げ捨てるのではなく、彼らのところに出向き、彼らの意見をきちんと聞き、また自分の意見もきちんと話すべき」と呼びかけている。


金森

マスコミが実施する世論調査結果報道で、自分の感覚からすれば、かけ離れた結果のものを目にすることがある。特に政治問題に関しての調査結果報道に多いと感じている。

マスコミが実施している世論調査に関して、興味深い記事があったので、以下転載して紹介する。


読売新聞の世論調査で安保法制賛成を誘導する露骨な質問! でも結果は...

http://lite-ra.com/2015/08/post-1355.html (LITERA 2015.08.04)

 国民の安保法案への反対の声は日を追うごとに高まっているが、安倍政権の御用メディアはどうしてもそれを認めたくないらしい。集団的自衛権容認、安保法案に一貫して全面賛成を表明してきた読売新聞が、7月24〜26日に全国世論調査を実施したのだが、その際にこんな設問をしたのだ。

〈安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか〉

 安倍政権の主張をそのまま質問文に盛り込む露骨すぎる誘導質問。ここまでやるかと驚きだが、しかし、この"質問文マジック"にもかかわらず、「安保法の整備」に「賛成」38%、「反対」51%。今国会での安保法成立については、「賛成」26%、「反対」64%と、いずれも反対が賛成を大きく上回り、逆に、国民が明確に廃案を望んでいるということを明らかにしてしまった。

 だが、結果には反映されなかったとはいえ、社会の公器であり、公正な報道が求められる大新聞がここまで露骨な世論調査をやっていいのだろうか。

 あの池上彰も朝日新聞8月1日付のコラム「新聞ななめ読み」で、この読売の世論調査について、こうバッサリと切り捨てている。

「こんな聞き方だったら、『それはいいことだ』と賛成と答える人が大勢出そうです。設問で答えを誘導していると言われても仕方ないでしょう」

 しかも、読売のこうした"偏向質問"は、いまに始まったことではない。本サイトは、これまでも読売の世論調査調の結果が他社と大きく異なっていたことを、今年6月に指摘。いずれも安倍政権に有利に働く結果を誘導するものだった。その"世論操作"のカラクリを解説した記事を以下に再録するので、是非この機会にご一読いただきたい。
(編集部)

***********************

▽なぜ読売新聞の世論調査では「安保法制賛成」が40%もいるのか? 回答誘導のカラクリ

(リテラ 2015年6月25日付)

 安保法制法案に「賛成」27.8%、「反対」58.7%──共同通信社が今月20日、21日に実施した全国電話世論調査の結果である。明らかに国民は安倍政権がゴリ押ししている安保法制にNOと言っているわけだが、ところが、ある別のマスメディアはこんな数字を出していた。

〈1.賛成 40%  2.反対 48%  3.答えない 12%〉

 これは、読売新聞が今月8日に実施した全国電話世論調査結果だ。賛否を問われているのは同じく「安全保障関連法案」。読売の調査を参考にすると国民の意見は拮抗しているように見える。なぜ、ここまで違いがでるのか?

 じつは、ここにはとんでもないトリックが隠れている。

「世論調査では数字が"力"です。その数字の扱いは注意を要するもので、受け取る側にきちんとした知識がないとだまされてしまうこともありえます」

 そんな帯の警句が目を惹くのは、5月に刊行された『世論調査とは何だろうか』(岩波文庫)。著者の岩本裕氏は、NHK報道局科学文化部デスクを経て、現在は解説委員を務める人物。『週刊こどもニュース』(NHK)の3代目「お父さん」を担当していることでも知られている岩本氏が解説する"世論調査の罠"は、思わず膝を打つほどわかりやすい。

 まずはこんな例について、本書から紹介しよう。昨年、安倍政権が閣議決定した集団的自衛権の行使容認。2014年の4月から5月にかけて、大手マスメディアが世論調査でその是非について集計したところ、なんと、各社ごとで真逆の結果がでたのだ。

 たとえば「反対」に注目すると、朝日新聞(56%)、日経新聞・テレビ東京合同(49%)、共同通信(52.1%)はいずれも50%前後を占めていた一方、読売新聞では「使えるようにすべきではない」が25.5%、産経新聞・FNN合同調査では「使えるようにする必要はない」が25%と、驚くほど対照的な数字が現れていたのである。読売と産経はこの自社調査の結果を踏まえて一面をこんな見出しで飾った。

〈集団的自衛権71%容認 本社世論調査 「限定」支持は63%〉(読売新聞14年5月12日付朝刊)
〈行使容認七割超〉(産経新聞4月29日朝刊)

 どういうことか? 著者は、この正反対の結果は「回答の選択肢」による影響が大きいと分析する。

 朝日調査の選択肢は「行使できない立場を維持する」「行使できるようにする」の二種類だった。日経・テレ東合同、共同通信調査の選択肢もまた「賛成」か「反対」かの二者択一。他方、読売と産経調査では、若干文言は異なるものの「全面的に使えるようにすべきだ」「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」「使えるようにすべきでない」の3つから選ぶかたちになっていたのである。

一見してわかるように「読売と産経は賛成に関する選択肢が2つ、反対が1つと、バランス的に賛成方向が多い」。しかも、賛成と反対の"間"の選択肢のことを「中間的選択肢」と呼ぶが、NHK放送文化研究所の実験調査によれば、"普段あまり考えないようなこと"を質問された場合、人々は中間的選択肢を選ぶ傾向が強くなるという。

 事実、前述した読売と産経の世論調査における「賛成」の内訳は、こうなっていた。

「全面的に使えるようにすべきだ」=7.3%(読売)、8%(産経)
「必要最小限度で使えるようにすべきだ」=64.1%(読売)、63%(産経)

 ようするに、読売と産経の調査では、集団的自衛権行使を「必要最小限の範囲で」認めるという"賛成寄りの中間選択肢"を設けたことで、ここに答えを集中させたのである。改憲派で安倍政権の御用メディアであるこの2社は、意図的にこうした選択肢を用意し、あたかも「賛成」が7割超を占めたかのような見出しをつけ、一面トップで報じたわけだ。明らかな世論操作と言うべきだろう。しかも、読売と産経のペテンはこれだけではない。

 本書では、上智大学新聞学科の渡辺久哲教授による、「世論調査の質問で避けたい言い回し」として、(1)「場合によっては」(2)「慎重に検討すれば」(3)「必要最小限の」(4)「〜しても仕方ない」(5)「事情があれば」の5つが紹介されているが、読売と産経は、まさにこの「必要最小限度」という曖昧な条件つきの選択肢を使っている。これは、安倍政権が説明する新3要件のひとつである「必要最小限の範囲を超えてはならない」が、実際には明確な縛りにならないことと同種の詐術だ。

 さらに、質問文の説明や前提条件が長いときにも注意が必要だという。なぜならば、その説明文が回答に影響を与える可能性があるからだ。

 ここで改めて、冒頭で紹介した、読売新聞6月8日の世論調査について検討してみたい。すでに勘付いた読者も多いだろうが、この安保法制法案の是非についての質問の説明文に、読売は狡猾なトリックを仕込んでいたのである。これがその質問の文言だ。

〈安全保障関連法案は、日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に、賛成ですか、反対ですか〉

 よく読めば露骨な誘導質問であることは瞭然だろう。安全保障関連法案の内容についての質問にもかかわらず、法案は「日本の平和と安全を確保し、国際社会への貢献を強化するために、自衛隊の活動を拡大するもの」と、設問の段階でその評価を肯定的に言い切っている。一方で、当然のように自衛隊員の死亡リスクや、日本が他国の戦争に巻き込まれるという危険性は隠匿している。つまり読売は、「平和」「安全」「国際社会への貢献」という美辞で、回答者をミスリードさせようとしたのだ。

 ここに安倍政権への配慮があるのは確実だ。マスメディアによる世論調査の数字は、しばしば国会答弁でも引用される。ひっきょう、この読売の"世論操作"を根拠として与党が「国民のなかでも賛否が均衡」と、現実とは異なる主張をすることが可能となる。というか、まさにそれが読売の狙いと見て間違いない。

 事実、読売は6月23日の社説でも「国会95日間延長 安保法案を確実に成立させよ」と題して、「安保法案の成立を最優先する首相の判断は評価できる」と、安倍首相の背中を強く押している。読売も含むすべてのマスメディアによる世論調査で、国民の6割前後が今国会での安保法制法案成立に関して「反対」「必要ない」と答えているにも変わらずだ。

 もっとも、読売新聞がれっきとした報道機関であるならば、常に"世論"を忖度して社説をうつことが望ましいわけではない。しかし、世論調査の名目で遂行されるこの露骨な"世論操作"の手口を見せつけられると、読売はもはや報道機関でなく、政府の広報機関だと言わざるをえないだろう。なぜならば、世論調査は"統計的社会調査"であって、新聞社の言論として認められる"論説"ではないからだ。統計的社会調査の報道に意図や主観をねじ込むことを一般的になんと呼ぶか。捏造だ。

 民意を置き去りのまま「戦争のできる国」へと邁進する安倍政権。それに盲従し、世論操作までうってでる読売新聞と産経新聞。この国の"大政翼賛会化"は、着実に進行しつつある。
(小杉みすず)


金森

高校生かぁ、凄いなぁ。時代はどんどん動くんだな。そして高校生のこの運動がSEALDsの様に全国に派生していくんだろなぁ。若者大学生、学者、大人市民、高校生がおかしな政治に声をあげる時代が始まるのか。希望しかないわ!

渋谷高校生デモ
https://twitter.com/yasu_17_/status/627181415793201152

金森

安倍晋三vs小池晃 自衛隊を戦場に送る戦争法案に断固反対する。廃案しかない 参院平和安全法制特別委員会2015.7.29

金森

安倍晋三 VS 福島みずほ 安倍晋三の詭弁、やはり安保法制はどこから見ても「戦争支援法」 参院平和安全法制特別委員会2015.7.30

金森

山本太郎(なかま)vs安倍総理「教えてあげるヒゲの隊長のパロディー版あかりちゃん」[国会中継]最新2015/7/29">山本太郎(なかま)vs安倍総理「教えてあげるヒゲの隊長のパロディー版あかりちゃん」[国会中継]最新2015/7/29

金森

学生デモ 特攻の無念重ね涙
無職 加藤敦美(京都府 86)

戦争法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は、うれしくて涙を流した。体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった。オーイ、特攻で死んでいった先輩、同僚たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。

山口県・防府の通信学校で、特攻機が敵艦に突っ込んでいく時の「突入信号音」を傍受し何度も聞いた。先輩予科練の最後の叫び。人間魚雷の「回天」特攻隊員となった予科練もいた。私もいずれ死ぬ覚悟だった。

天皇を神とする軍国で、貧しい思考力しかないままに、死ぬと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれて咲いていることすら知らず、五体爆裂し肉片となって恨み死にした。16歳、18歳、20歳 ・・・。

若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。


金森

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