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日本株「みせかけの好調」の後に来るもの

  • 雑談

株式の世界には「サマーラリー」という都市伝説のようなものがある。

サマーラリー

米国の株式市場において、7月から9月までの夏場にかけ株価が上昇しやすい現象のこと。具体的には7月4日の米国独立記念日から9月第1月曜日のレーバーデー(労働者の日)までの期間を指し、バカンスに入る前に投資家がボーナスなどで株を買いだめするためなどともいわれる。アノマリー(経験則)のひとつ。

https://www.nomura.co.jp/terms/japan/sa/A02472.html
野村證券 証券株式用語解説

今夏の日本株式市場では、日銀のETF買い、GPIFの株式購入枠拡大で、サマーラリーが出現するという人もいる。しかし、わたしは懐疑的だ。逆に手を出さず眺めているに限ると思っている。

以下に東洋経済ONLINEに掲載されている興味深い記事を紹介しておく。

日本株「みせかけの好調」の後に来るもの
17年ぶりの「異様な高値」が示す真実

http://toyokeizai.net/articles/-/131595 東洋経済ONLINE


円高が定着しつつあるのに、日経平均はジワジワ上昇。日経平均だけを見ていると、ハシゴを外されるかも(写真:ロイター/アフロ)

日銀が追加の金融緩和策として、上場投資信託(ETF)の年間買い入れ枠を従来の3.3兆円から6兆円に拡大してから、日経平均はやたらと堅調だ。

「しっかりだが、上値が重い相場」とは?

12日の終値は1万6919.92円で、週間ベースでは4.09%上昇した。NYダウやナスダック、S&P500が17年ぶりにそろって史上最高値を更新するなど、先週の株式市場では米国株の強さが際立った感があるものの、8月2週目のNYダウ上昇率は0.18%とほぼ横ばい。先進国のなかでは日経平均がダントツの上昇率となった。

この強い動きはもちろん日銀によるETF買い入れ幅の拡大の影響が大きい。日銀は4日に719億円のETFを買い入れている(設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF買入12億円も含む)。

4日の安値1万5921円から見ると12日時点の日経平均は約1000円上昇しているが、夏枯れ相場で商いが低迷していることから価格帯別売買高で商いが多い1万7000円手前では上値が重くなっている。これは、日銀が上昇局面でETF買入に動かないことも影響している。「下がっている局面では日銀は動く。でも上がっている局面では日銀は動かない」。この運用が市場のコンセンサスとなっていることから、「しっかりだが上値が重い」という相場展開が確立したわけだ。

ここで7月29日の日銀会合以降、市場で発生した変化を「3つの指標」で確認しておきたい。

3つの指標とは「NT倍率の拡大」「日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)の低下」「ドル建て日経平均の高値更新」である。今後のマーケットをみるうえでのポイントになると見る。

まずは、NT倍率の拡大から確認したい。

NT倍率は、文字通り、日経平均(N)をTOPIX(T)で割ったものだ。8月12日現在では12.78。細かい説明は省略するが、この倍率で大型株優勢なのか、中小型株が優勢なのかを判断することができる。このNT倍率が1999年以来、約17年ぶりの高水準まで上昇している。背景には、日銀によるETF買入があるのだが、ロジックを説明しよう。

日銀が買うと、なぜNT倍率は拡大するのか

拡大する理由は、TOPIXが「時価総額型指数」(正式には浮動株基準株価指数)、日経平均が「単純平均株価指数」であるためだ。例えば、トヨタ自動車とファーストリテイリング(ファストリ)はTOPIXにも日経平均にも含まれる。

トヨタはTOPIXの構成比率で1位、ファストリは日経平均の構成比率で1位。トヨタの構成比率を見るとTOPIXは3.90%、日経平均は  1.38%と合計5.28%だ。

一方、ファストリは、TOPIXが0.32%に過ぎないが、日経平均はなんと8.79%で合計9.12%となる(比率は12日時点)。TOPIXと日経平均を機械的に200億円購入したとしても、これだけ構成比率が違うと、ファストリにより多くの投資資金が流入する格好となる。また、日銀が機械的にTOPIXや日経平均を購入することがわかっていることから、ファストリなど日経平均の構成比率が高い銘柄に先回り的な買いが入りやすくなっている。これがNT倍率拡大の要因だ。

では、二つ目の日経平均VIの低下とは何を意味するのか?

これは、日経平均オプション取引などの数値を用いて算出する先行き(1カ月先)の不透明感の高さを数値化したものだ。「ボラティティ」と一言で表現されることもある。

簡単に言うと、30pより上だと先行き不透明感が高く、日経平均は乱高下しやすい。一方、20pぐらいであれば、先行きを楽観視した投資家が多く、日経平均は安定した推移となりやすいといった具合だ。

オプションのボリュームなど、細かいことは省略するが、この日経VIが足元で急低下している。7月29日に30p台だったが、会合内容が伝わると一気に26p台まで低下。その後もじりじりと低下し、12日にはついに18.45pと今年最低水準となっている。

先行きに対する不透明感が払拭されたというポジティブな解釈をしたいところだが、実際は「日銀ETF買入幅の拡大によって下値不安はほぼ無くなったが、上値も重く狭いレンジでの推移となりそう」といった投資家心理が近いだろう。日経VIは下落局面だけ上昇するわけではなく、2013年前半のように強い上昇局面でも上昇する傾向がある。

オプションのプット、コール両方を用いて算出されているからだ。足元、下値不安が低下していることからプットの売買が減少している一方、上値の重さも嫌気されてコールの売買も減少。オプション市場の売買そのものが沈静化している。日経VIの低下は、市場の落ち着きを好感して中長期的な投資資金が流入する可能性が高まるのだが、狭いレンジ推移の相場展開が続く可能性を示しているのであれば、資金流入は期待できない。

「ドル建て日経平均の好調ぶり」は何を意味するか

そして、最後のドル建て日経平均の高値更新についてである。これは、日経平均をドル円のレートで割ったものだ。各ベンダーや証券会社によってドル円のレートは若干異なるので、明確なドル円のプライスはないようだが、12日の終値1万6919.92円を12日15時時点のドル円レート102.14円で割ると165.65ドルとなる(QUICKベース)。年初来高値を更新しており、昨年の高値水準である6月24日の169.13ドルに迫っている。

この日の日経平均は2万0952.71円とアベノミクス相場での最高値をつけており、ドル円レートを計算すると123.88円。12日時点よりも20円超円安ドル高な水準だ。円高推移にも関わらずドル建て日経平均がこの水準に位置していることは、企業が円高への耐性を高めたこともあるが、円高で本来下落する局面でも日銀がETF買入で日経平均を下支えしていることが大きく影響している。

こうした流れを考慮すると、今後、企業の業績などを見なくても、日経平均や、機械的に日銀が買入を実施する銘柄を拾っておけば、上値は重いながらも多少のパフォーマンスは得られそうだ。

だが企業の業績を無視した、歪んだ市場を投資家はどう思うだろうか?「官製相場だからトレンドに逆らうな」という判断を下すトレンドフォロー型の資金は流入しそうだが、企業分析を生業とし個別銘柄に投資をする機関投資家の資金は入りにくくなるだろう。指数構成比率の高い銘柄に資金が集中する一方、指数構成比率の低い中小型やマザーズ銘柄などは蚊帳の外となりそうな状況だ。


金森

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